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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十八話 内乱終結後(その2)
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家は伯爵家の分家だ。そして代々軍の名門として存在してきた家でもある。そのミュッケンベルガー家が平民を娘婿に選ぶ……。俺の結婚は当然同盟でも話題になるだろうな、そのあたりも考慮しての事か……。まさに政略結婚だな。ユスティーナはそのあたりを理解しているのか……。
「予はこれを機に劣悪遺伝子排除法を廃法にするつもりじゃ」
「!」
俺が驚いてフリードリヒ四世を見ると可笑しそうな顔で笑った。
「遺伝子や血に拘らぬのであれば必要ないからの、帝国が変わったという何よりの証拠になろう。そのためにもそちはミュッケンベルガーの娘と結婚せねばならん。良いな」
「はっ」
これからミュッケンベルガーに会うんだが、どんな顔をすればいいんだ。その時のことを考えると思わず溜息が出た。そんな俺を見てフリードリヒ四世がまた笑い声を上げた。オーディンは魔界だ。食えない爺ばかりいる。
帝国暦 488年 5月 31日 オーディン ゼーアドラー(海鷲) アルベルト・クレメンツ
「こうして二人で酒を飲むのは久しぶりだな、クレメンツ」
「ああ、前に飲んだのは内乱が起きる前だからな。半年前か」
「うむ」
あの時は内乱を前に皆が何処かピリピリしていた。酒を飲んでいても寛ぐという事は無く、何処かで何かが起きるのを待っている、そんな感じだった。今はそれは無い。ゼーアドラー(海鷲)にいる人間は皆、落ち着いた表情で酒を飲んでいる。
ゼーアドラー(海鷲)にいる人間も変わった。内乱前は門閥貴族出身の貴族と下級貴族、平民は席を一緒に座る事は無かった。そこには厳然とした差別があった。だが今はない。
「何時出撃する?」
「一週間後だ、卿は」
「こちらも一週間後だ」
一週間後に出撃。内乱終結にも関わらず間をおかず出撃するのは国内の治安維持のためだ。門閥貴族が滅んだ事で新たな混乱が生じている。その混乱を解消しなければならない。
彼ら門閥貴族は領地を持っていた、つまりその地方の安全保障を受け持っていたのだがその貴族が滅んだ事で安全保障を受け持っていた存在が居なくなった。そしてもう一つ、彼らはその地方の物流、通商の主要な担い手だった。それが居なくなった。各星系内、星系間の経済活動が極端に低下しはじめている。
ここから何が生まれるか? 簡単だ、極端な物不足、物価の高騰、密輸、非合法活動(海賊行為)だ。これを放置すれば政府に対して不満が高まり、門閥貴族達への支持になりかねない。改革は挫折する。
軍は既に兵站統括部に命じて各星系に輸送船を派遣している。しばらくの間は軍が帝国内の物流を支えなくてはならないだろう。そして我々の役目はその護衛、海賊行為の取り締まりだ。
海賊達の中には今回の内乱に参加した者達も居る。降伏もせず、亡命もせ
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