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星がこぼれる音を聞いたから
11. 紳士と淑女と親友と妖怪
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こえてきてびっくりした。あれだけ元気なら大丈夫かもしれん。ビス子に謝るかどうかは、帰ってきたときの様子を見て決めよう。

 トノサマ洋装店は、俺が隼鷹と結婚して二ヶ月ほど経った頃に閉店した。奥様の生まれ故郷で、小さな喫茶店を開いたそうだ。あの上品で威厳のある店主のことだ。きっと喫茶店も雰囲気のよい素敵な店なのだろう。一度だけもらった手紙に同封された写真には、店主と奥様の仲睦まじい姿と、洋装店によく似た、ノスタルジーな雰囲気が素敵なお店が写っていた。

 店主に俺達の結婚を報告した時のことを思い出す。店主は俺達に対し、こう言っていた。

――うんと幸せになりなさい。私が仕立てた紳士と、その淑女なのだから

 任せて下さい。隼鷹と俺は幸せになります。

――ちゃんと隼鷹を幸せにするのよ?

 連想的に、飛鷹の言葉も思い出した。飛鷹はあの日以降、俺に姉貴ヅラをするようになっていった。確かに関係性は義理の姉弟で間違いはなかったが……。

――妹と弟を守るのは姉の役目よ!  あなたは提督の元に帰りなさい!!

 防衛線が押し込まれ撤退を余儀なくされた時、飛鷹はそう言って部隊の殿をつとめ、そして轟沈していったそうだ。隼鷹を俺のもとに無事送り届けてくれた飛鷹本人は、二度と俺達に姉貴ヅラすることなく、この鎮守府を去った。

 俺達が結ばれた次の日、隼鷹はいの一番に飛鷹にそのことを報告したのだが……飛鷹はその時、しらばっくれていたらしい。まるで俺と隼鷹の関係性に気付いてなかったかのように、明るく気丈に振舞っていたそうだ。

――妹の幸せの為に頑張るのは姉の努めよ?

 飛鷹は、姉として立派に妹を守っていたんだ。そして、義理の弟である俺自身のことも。

 今でこそ戦闘は小康状態となっていて、相手に目立った動きはない。ココ数ヶ月の間は、目立った戦闘もなく、小競り合いが続いているだけだ。こちらの犠牲も、飛鷹と古鷹の2人以降、出ていない。

 だからといって安心は出来ない。これからも小康状態が続くとは限らないからだ。再び戦争が激化し、あの時のように俺達は多大な犠牲を払うのかも知れない。……ともすると、この鎮守府は崩壊し、俺達は全滅することになるかもしれない。

 でも、だからこそ毎日を精一杯、楽しんで生きなければ……俺は姉の飛鷹に隼鷹のことを頼まれた。トノサマ洋装店の店主に『うんと幸せになりなさい』と言われた。ならば少しでも幸せにならないと……今よりももっともっと隼鷹を幸せにしないと、店主との約束を果たせなかったことになる。なにより、あっちで姉に顔向けが出来ない。先に逝ったみんなに合わせる顔がない。

「ちょっと提督!!」

 執務室の扉がドバンと開き、息を切らせた隼鷹が姿を見せた。

「ん? どうした?」
「一大
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