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真田十勇士
巻ノ六十七 関白秀次その十一

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「豊臣家の天下は危うくなる」
「もうあの方しかおられませぬし」
「豊臣家は人自体が少ないですな」
「どうにも」
「うむ、お子があまり生まれぬ家じゃ」
 秀吉そして豊臣家の泣きどころをだ、幸村は看破した。
「それは困ることであるな」
「家を続けることが大事ですからな」
「天下人のお家ならば尚更」
「太閤様にはもうお子がおられませぬし」
「これからも」
「あの方もお歳じゃ」
 秀吉に子がなく彼も五十を超えている、とかくこのことが豊臣家にとって大きな重しになっているのだ。それも途方もないまでに。
「だからな」
「それで、ですな」
「余計に関白様が重要ですな」
「あの方がおられれば」
「そうなっておる、果たしてな」
 また言った幸村だった。
「関白様がどうなられるか」
「それが、ですな」
「これからの天下も決める」
「そうなのですな」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「あの方がどうなられるか」
「お身体は丈夫ですし」
「お若いですしお子も何人もおられます」
「ご子息もおられますし」
「あの方ならばですな」
「うむ、豊臣家を栄えさせられる」
 そうなるというのだ。
「今は人が少ないがな」
「あの方からですな」
「再びそうなることが出来る」
「では」
「太閤様はあの方を大事にされますな」
「実際に大事にされておるしな」
 跡継ぎとしてだ、秀吉も秀次を見ていて用いているというのだ。このことは天下にはっきりと知らしめててもいる。
「しかし先はわからぬからな」
「どうなるか」
「どうしてもですな」
「太閤様の後に関白様が無事に天下人となられる」
 まさにというのだ。
「それは、ですか」
「まだ、ですか」
「確かにはですか」
「言えぬ」
「そうなのですか」
「そうじゃ、拙者としてはじゃ」
 幸村としてはというと。
「出来るだけな」
「関白様にですな」
「あの方に天下人になってもらいたいですな」
「次の天下人に」
「是非共」
「あの方ならば問題ない」
 こう見てのことだ。
「資質も年齢もな、それにお身体も」
「全てが問題ない」
「そうなのですな」
「敢えて言う」
 ここで幸村が言うことはというと。
「関白様は太閤様とは違う」
「ですな、どうしても」
「あの方とは違いますな」
「関白様は関白様で」
「太閤様は太閤様ですな」
「そうじゃ」
 まさにというのだ。
「太閤様は天下一の人たらし、機転が利いて動きが速い」
「それが太閤様ですな」
「あの方ですな」
「だからこそ天下人となれた」
「そうなのですな」
「そうじゃ、しかし関白様はじゃ」
 秀次、彼はというと。
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