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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十六話 内乱の終焉
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げ易かろう」
わしの言葉に皆が頷いた。
「グライフスにはすまぬことをした。あの男は皆から非難されるだろう。だが敢えてその汚名を負ってくれた。決して忘れるでないぞ、今我等がこうしていられるのもあの男のおかげだ」
フェルナーが沈んだ声で尋ねてきた。
「グライフス総司令官はどうするのでしょう」
「汚名をかぶって逃げたのだ、降伏はするまい。おそらくは亡命だろう」
皆グライフスの事を想ったのだろう、しばらくの間沈黙が落ちた。
「ブラウラー、ガームリヒ、卿らはリッテンハイム侯よりサビーネを守れと命を受けているな?」
わしの問いに二人は顔を見合わせた。そしてブラウラー大佐が答えた。
「はい」
「他には?」
「……降伏しろと言われました」
サビーネを守るためか……。親と言うものは考える事は皆同じか。
「シュトライト、アンスバッハ、フェルナー」
「はっ」
「わしは卿らにも同じ事を命じる、良いな」
「はっ」
「お父様、お父様はどうされるのです」
そんな顔をするな、エリザベート。
「……わしはこの反乱の首謀者なのでな、けじめは付けなければなるまい」
「けじめ……」
不安そうな娘の表情に敢えて気付かぬ振りをした。
「シュトライト、一時間後に降伏をしてくれ」
「はっ」
「後を頼むぞ」
わしが自室に戻ろうと歩き始めると小走りに追いかけてくる足音がした。エリザベートだろう。
「お父様!」
「来てはならん!」
足音が止まった。わしも足を止めた、だが振り向かなかった。娘の泣き顔など見たくない。
「以前言った事を覚えているな、たとえ反逆者の娘になろうとも俯く事は許さん。胸を張って顔を上げて生きるのだ」
「……はい」
「エリザベート、幸せになれ。父はそれだけを祈っている」
歩き始めたが今度は追ってくる足音は聞こえなかった。代わりにすすり泣く声だけが聞こえた。聞きたくない、その音から逃げるかのように足を速めた。
部屋に戻り椅子に腰掛けた。
「終わったな、ようやく終わった。後は己の始末だけか」
思わず呟きが漏れた。しばらくぼーっとしているとアンスバッハが部屋に入ってきた。
「失礼します、何かお手伝いできる事は有りませんか」
「そうだな、酒の用意をしてくれるか」
「はっ」
「グラスは二つ用意してくれ、わしとリッテンハイム侯の分だ」
「リッテンハイム侯の……、分かりました」
アンスバッハがグラスと酒を用意し始めた。テーブルの上にグラスが二つ、そしてグラスにワインが注がれる。色は赤、美しい色だ、ワインとはこんなにも美しい色をしていたのか……。
「他に何か御用は?」
「いや、無い。御苦労だった、アンスバッハ」
「はっ」
アンスバッハが一礼すると部屋を出
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