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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十六話 内乱の終焉
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が司令長官に問いかけた。
参謀長は要塞を攻めたいのかもしれない、周囲も皆司令長官に視線を集中している。戦勝の興奮がまだ艦橋には漂っているのだ、皆好戦的になっていてもおかしくは無い。しかし司令長官はスクリーンから視線を外さなかった。
「各艦隊は現状のまま待機。敵は降伏する可能性があります。短兵急に攻めると反って敵を自暴自棄に追い詰めかねません。必要以上に危険を冒す事は無いでしょう」
「しかし、敵が降伏しなかった場合は如何なさいますか?」
ヴァレンシュタイン司令長官がワルトハイム参謀長を見た。穏やかで落ち着いた目だ、司令長官にとって戦闘はもう終わったのかもしれない。
「そのときはまた考えましょう」
「はあ」
司令長官の答えにワルトハイム参謀長は毒気を抜かれたような声を出した。それが可笑しかったのかもしれない、司令長官はクスッと笑うと席から立ち上がった。
「参謀長、私は疲れましたのでタンクベッド睡眠を一時間程取らせてもらいます。後は御願いします」
そういうとヴァレンシュタイン司令長官は艦橋から出て行った。その後をリューネブルク中将が追う。相変わらず過保護なんだから。
帝国暦 488年 3月 4日 4:00 ガイエスブルク要塞 オットー・フォン・ブラウンシュバイク
旗艦ベルリンを降り疲れた身体に鞭打って要塞司令室に行く。後からシュトライト、アンスバッハが続いた。司令室に入るとフェルナー達が敬礼をして迎えてくれた。何処と無く照れくさかったが答礼した。
「ブラウンシュバイク公、御疲れ様でした」
「フェルナー、やはりわしは及ばなかったようだ」
それきり沈黙が落ちた。誰もこれからどうするかとは言わない、言うまでも無い事だ。後は自分の身の始末をつける、それだけだ。
「お父様」
「伯父上」
エリザベートとサビーネがおずおずと近付いて来た。二人とも蒼白な顔をしている。やれやれ娘達の前で敗残の姿を見せるか、情けない事だ。
「エリザベート、サビーネ……。すまぬな、負けてしまった」
「いいえ、いいえ、そんな事は良いのです。それより皆酷い、お父様を見捨てて逃げてしまうなんて……」
エリザベートが身を震わせて逃げて行った者達を非難した。
「そうではない、エリザベート。少なくともグライフスは違う」
わしの言葉にエリザベート、サビーネだけでなくフェルナー達も不審そうな表情をした。
「わしがグライフスに逃げるように頼んだのだ。これ以上はたとえ要塞に篭ろうと敗北する事は決まっている。だが人には見栄というものがあってな、分かっていても逃げる事が出来ぬ。このまま要塞に篭れば最後は悲惨なものになるだろう。お前達も巻き込んでしまう。だからグライフスに逃げてくれと頼んだのだ。総司令官が逃げれば皆逃
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