第2章 魔女のオペレッタ 2024/08
17話 居場所という詭弁
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達のやり方か。
――――よく分かった。なら結構だ。
――――だが、勘違いするな。………俺は、俺のやりたいようにやる。お前の為じゃない。
――――その事を、忘れるな。
それは、薄暗い会合だった。
しかし、ヒースクリフには全てにおいて理想的な結末に向かわせる、最も確実性の高い手段が見えていたようにも思える。
攻略組に名だたるギルドが殺人ギルドを捕縛、征討することでアインクラッドにいる全プレイヤーの士気を高め、攻略組の嫌われ者に汚れ仕事を押し付ける。
仮に俺がオレンジカーソルになってしまおうものならば、攻略ギルドは一時だけでも俺を共通悪として糾弾し、一枚岩ではなくとも結束力は高まるだろう。
更に言えば、PoHを縫い付けるだけでもスムーズな作戦行動に繋がり、作戦に参加するプレイヤーの生存確率を底上げすることに繋がる。仮に俺がPoHの手によって死のうが、攻略組の爪弾き者が一人消えただけ。深読みが度を過ぎたか、或いは真に迫ったかはさておき、俺はこれから一人の人間を殺すべく行動する。そんな目的の為にヒヨリを連れ立って行くなど、罷り間違っても出来る筈がない。
気付けば、振り子時計の長針は真下を指し示していた。
もう間もなく、結集した攻略組は、最大にして最悪の殺人ギルドの潜伏地へ夜襲を掛けるべく進軍を開始する。
それは文字通り、これまでのアインクラッド攻略においても最大級のプレイヤー同士による戦闘、まさしくSAOにおける超大型対人戦となる。当然、《笑う棺桶》が抵抗することを視野に入れて行動するプレイヤーも少なからずいると思う。現にヒースクリフは捕縛で済むと認識していなかったからこそ俺に暗殺の依頼などを持ち掛けてきた。漠然と楽観視するだけのプレイヤーは少数かも知れないが、万が一にも殺し合いになるという事態を想定して作戦に赴くプレイヤーは、果たしてどれだけいるだろうか。夕刻に見掛けた攻略組連中の、恐らくは作戦に参加するであろうプレイヤーの顔には、危機感の色が薄かったように思える。
この浮遊城に囚われ、攻略に邁進する《善良な虜囚》には、そもそも《決闘》という安全措置の中で刃を交えることで、人間が振るう剣に対しての恐怖心は抑制される傾向にある。一定以上のダメージで勝敗が決定され、そこから先は暗黙の了解で剣を鞘に納める。乃至は圏内でデュエルを行って万が一の危険性を排除する。それは、互いに死を忌避するという共通理解があっての、《同じカテゴリーに属する人間同士》であるからこそ保障された安全だ。
だが、彼等は違う。
プレイヤーは様々な思考を以て、様々な嗜好に興じる権利がある。
ゲームであれば、それはむしろ当然の帰結であろう。
楽しみ方は人それぞれ。そんな言葉で片付ける事も出来るだろう
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