38話 途切れた1つの想い 3.12
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」
ローゼンズールから発せられる闘気がグレミーとモンドを戦慄させた。正面向かって対峙しなければ致命傷を受けかねない威圧感だった。グレミーは深呼吸をして相手に飲まれないように対処し、モンドへこう伝えた。
「モンド、回線でフィフスルナへ連絡。壊滅の脅威が迫っている。そこから逃げろと」
モンドはグレミーと違って汗だくになり、何とか意識だけは保っていた。戦闘に支障が出るほどのコンディションだったので、グレミーに頼み込んだ。
「わ・・・わかった。グレミー、オレは・・・」
その様子を察したグレミーはバウで手振りでモンドを後方へ下がるように伝えた。マ・クベはモンドが後方へ下がる事に特別意識はしなかった。計算上、モンドが追いかけようがエルメスたちには追い付かないと、仮に追いついてもモンドではエルメスの相手にはならないと先ほどの戦闘で読んでいた。
グレミーはライフルの射線をローゼンズールに向けた。しかし引き金が引けなかった。
「・・・こいつは、当たらない」
グレミーの空間認識能力はジオンの中でも異質だった。グレミーは狙ったものを全て落とす才能があった。故にアクシズで異才を放ち、ギレンにも好かれていた。前提として狙えたかどうかだった。
ローゼンズールは射程内に入っていたが狙えなかった。射線は向けていても避けられるイメージしか湧かなかった。グレミーはライフルを握ったまま、もう片方の手にサーベルを持った。
「(時間が無い。仕掛けて隙を作る)」
グレミーはローゼンズールに斬りかかっていった。ローゼンズールは腕のインコムを作動させてグレミーの上下を挟み込む形で射撃した。
「甘い!」
グレミーの空間認識能力は射撃だけでなく敵の攻撃も然り。ローゼンズールの攻撃を肩の動きや胴体の捻りなどで回避しながらもローゼンズールへ接近していった。マ・クベはその動きに感嘆し、自機を後方へ下げた。
「インコムを避けるとは。出来るパイロットではないか」
グレミーのバウとマ・クベのローゼンズールは至近距離となった。グレミーはローゼンズール目がけてサーベルを振り下ろした。マ・クベはローゼンズールを体を開いて、バウを中に入れる様な形に持っていった。
グレミーのサーベルは下ろしてからすぐさま横へ薙ぎ払おうとしたが、ローゼンズールのインコムがピンポイントにバウのサーベルを握る手を狙撃して、破壊した。しかしその爆発の余波でローゼンズールの片腕のインコムの線が一緒に切れてしまった。
その損傷にマ・クベは計算外であって、苦虫を潰したかのような表情を見せていた。そんな猶予もないままグレミーの攻撃は続く。
グレミーは衝撃で逃げたローゼンズールを近距離で射程に収めた。今度は躊躇なかった。感覚的に直撃確実だったからだ。
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