38話 途切れた1つの想い 3.12
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も弱い我々に最高のカードとなり得る。地球主義な者達にはとても邪魔な存在だ」
「なるほど〜。それを今度は会社所有にするのね」
エルは今までのグレミーが会社の為にしてきたことを振り返っていた。必要なものは全て登記して所有していった。今度はそれが小惑星だった。
「しかしそれが難航している為、ある援助を受けることにした。その橋渡しでムーンムーンへ行く」
そのコロニーの名前にエルは首を傾げた。
「何でだい?あんな田舎コロニーに何があるというのかい?」
グレミーはその質問に回答する。
「私は面識がないが、そこと族長にフィフスルナを仕切る者達を説得してもらうというのがジュドーの考えだ。フィフスルナに住まう者達が一種のスピリチュアリズムに冒されている恐れがある。我々の話が通じないらしいのでな」
エルはそれ聞くと腕を組み頷いた。
「彼女なら話ができるかもしれないな。わかったさ。準備しとくからこっちにきなさんな」
そう言ってエルは通信を切った。グレミーは立ち上がり部屋を後にした。
* フィフスルナ宙域 グレミー旗艦エンドラ 3.14
艦橋でグレミーは交渉の結果を待っていた。アステロイドベルトには鉱物資源などの探索で開拓は進んでいたが恒久的な移住空間の建設ではなかった。
その拠り所を開拓しようとする計画がこのフィフスルナ。そこの住人は既に自活可能な力を持っている。その技術の取得は火星の移住に欠かせないものだろう、そうグレミーは考えていた。
アクシズの時代もそうであったが、ライフラインの安定供給は欠かせない。結局のところ地球からの補給が命綱。それでは自活ではない。
このフィフスルナはジオンの記録によれば、ここ1年無補給らしい。フィフスルナは小惑星ながらテラフォーミングに成功した稀有な拠点なのだ。その成果を火星で行おうと言う訳だ。
グレミーはサラサとラサラに会った。両女史とも信頼におけることが分かった。
彼女らの感性ならば、グレミーの感性ではあのマシュマーらとは話すらできないことが分かった。
グレミーはサラサとマシュマー、キャラとの会話を聞いていた。ギレン総帥の遺志を継ぎ、火星のテラフォーミングに助力して欲しい・・・という説得が利かない理由が良く分かる。
彼らは純粋な農夫だった。日々の暮らしの維持で必死であり満足充実していた。それに水を差すグレミーらの行動は敵愾心以外の何物でもなかった。
グレミーは腕を組み、頭を掻き、首を回すなど落ち着きなく、その姿を見たエルはグレミーに声を掛けた。
「どうしたんだい?落ち着きないよ」
そう言われたグレミーは深くため息を付いた。
「ふう・・・何かむず痒い感覚がする」
エルはちょっと考え込んでは両手をポンと叩いた。
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