EX回:13 鎮守府の秋祭り〜演習編A〜
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懐に飛び込むのが危ないなら、被弾しなければ良い。単純且つ明解な回答だ。そしてもう1つ、1対1での接近戦で活きるショートレンジの打撃だ。
「ふっ!」
短く息を吐くと共に、敵の龍田が突きを放ってくる。夕立は僅かに身体を捻り、最小限の動きでかわしつつ尚も懐深くに飛び込む。相手との間隔は30cmもない。そこから拳打を繰り出すには、腰や身体を捩るように回転を使ってスピードとパワーを乗せていく。ショートフックやアッパーを主体とした打撃を放つ。その打撃を嫌がるように龍田が後方に跳び退がろうとするが、夕立は尚も追い縋るように貼り付く。これが戦う相手を入れ換えた最大の狙いだ。
龍田の接近戦は手持ちの槍?矛?まぁどっちでもいいや、あの手持ち武器を主体とした棒術・槍術に近い戦法だ。だからこそ相手の懐に飛び込めば、相手の強みである「リーチの長さ」を封殺できる。狙うポイントは鳩尾や顎、肝臓など人体の急所と言われるポイント。俺がミット打ちに付き合って場所を身体に叩き込んだ。その為吸い込まれるかのように相手の急所へと拳が、膝が、肘が飛んでいく。相手は防戦一方となり、動きが鈍っていく。
『相手の嫌がる箇所を探せ。そしてそこを突け。』
俺が常々艦娘達に教えている戦術の基礎の基礎だ。相手の弱点を探る事は、相手を観察する事に繋がり、それによって受け攻めどちらにも有利に働く「目」を養う事が出来る。
「ぐっ……!」
「あぁっとぉ、夕立さんの拳が龍田さんの右脇腹を抉るっ、相手の龍田さんの表情が苦悶に歪む〜っ?」
完璧にリバーを捉えた。あれ喰らうと内蔵が捩れたんじゃないかと思う激痛と共に息が詰まる。身体がくの字に曲がり、最大の弱点である頭が下がる。瞬間、夕立が身体を捻って右足を振り上げる。右背側からのハイキックが敵の龍田の側頭部を見事に捉え、龍田を昏倒させた。
「……っぽい!」
ビシッと決めポーズまで決めちゃってまぁ。
「決まったああぁぁぁ!夕立のハイキックぅ?」
「いやいやいやいや!艦娘なんだから砲雷撃で戦えよ!何で殴り合いでのしちゃってるんだ?」
武蔵よ、それは突っ込むだけ無駄というものだ。そして夕立、見事過ぎるハイキックでスカートの中身見えちゃってたから。お客さんかなりの数ファインダーに納めちゃってたから。凹むなよ。
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