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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十五話 決戦、ガイエスブルク(その5)
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はヘルダー子爵とハイルマン子爵は……』
「カルナップ男爵、我等はグライフス総司令官と連携し後退する。いいな」
『しかしそれではクライスト提督が孤立してしまいますぞ』

カルナップ男爵が悲鳴のような声を出した。その通りだ、クライストは孤立する。そして戦術コンピュータのモニターには敵に包囲されつつあるクライストの艦隊が映っている。

「カルナップ男爵、我等はグライフス総司令官と連携し後退する。遅れればクライストのように包囲される、生き残ることを優先しろ!」
『公……』

呆然とするカルナップ男爵を残し通信を切らせた。生き残る、だが何のために生き残る? 三個艦隊を失った。損害はさらに増えるだろう。おそらく再戦は無理だ、何のために生き残る?



帝国暦 488年  3月 4日  3:00  グライフス艦隊旗艦   ヴィスバーデン    セバスチャン・フォン・グライフス


ようやく、ようやく艦隊はガイエスハーケンの射程内に退避した。敵はもう追ってこない、ガイエスハーケンを恐れたのだろう。或いは追う必要も無い、そういうことかもしれない。

反撃に出たメルカッツ提督率いる敵の左翼に味方は叩きのめされた。高速移動を行なってヴァルテンベルクの側面から後背に出た敵の予備によってヴァルテンベルク、ランズベルク伯の艦隊は壊滅した。

残った艦隊はホージンガー男爵、コルビッツ子爵、私、ブラウンシュバイク公、そしてカルナップ男爵の五個艦隊。兵力は五万隻に満たない。統率の取れない味方を率いての撤退戦、疲労感だけが残った。

打ち沈んだ艦橋にオペレータの声が流れた。
「閣下、ブラウンシュバイク公から通信です」
「分かった」

スクリーンにブラウンシュバイク公の姿が映った。
『グライフス……』
「ブラウンシュバイク公……」
お互いに名を呼んだまま少しの間見詰めあった。公は憔悴している、しかし穏やかな表情だ。そこには怒りは見えなかった、公は敗北を受け入れようとしている。その事実が私を打ちのめした。

「申し訳ありません、力及びませんでした、敗北は私の責任です。総司令官に任命していただいた公の御信頼を裏切りました」
『そうではない、グライフス。卿がいたから此処まで戦えた。そうでなければもっと無様に敗北していただろう。卿には感謝している、よくやってくれた』

公の言葉が胸に刺さる。顔を上げられなかった。再戦の事を公は口にしなかった。もうこれ以上は戦えない、戦っても自暴自棄になるか、或いは裏切り者が出るだけだ。この上は公と共に死を迎える事が総司令官である私の役目だろう。

『グライフス、頼みがある』
「私に出来る事であれば」
『では、逃げてくれ』
「!」

逃げてくれ? 私に逃げよと……。
『もはやこれ以上は戦
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