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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十四話 決戦、ガイエスブルク(その4)
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るような状況ではない。スクリーンに映るガイエスブルク要塞は或る一箇所が急激に白く輝きだしている。もう直ぐガイエスハーケンが発射されるだろう。腋の下にじっとりと嫌な汗をかいているのが分かった。

全ての艦が射程外に出るのは難しいだろう。ただ退避行動は敵と同方向にしろと命じた。問題は敵が味方を殺してまでこちらに致命傷を与えようとするかだ。作戦会議でもそこが問題になった。

敵にはクライスト、ヴァルテンベルクが居る、あの二人は味方殺しで閑職に追われた。多分味方殺しは無いはずだ、しかしやるならヘルダー子爵と俺を狙うだろう。俺ならやるだろうか、よく分からない。問題はグライフスにそこまで出来るかだ。そこが先ずは最初の勝負の分かれ目になる。

「ガイエスハーケン、来ます!」
オペレータが悲鳴を上げた。それと同時にスクリーンに巨大な白い光が炸裂する。光の束が宇宙を貫いて行った。スクリーンの入光量が調整されているから見る事が出来るがそうでなければ閃光で失明していたかもしれない。

とんでもないエネルギー量だ。確かにトール・ハンマーに匹敵する。直撃されれば一瞬で蒸発していただろう。しかし俺は生きている。最初の勝負に勝ったということだ。

「参謀長、被害状況を確認してください。それと右翼部隊全艦に後退命令を」
「はっ」
ワルトハイムが指示を出そうとする前にオペレータが声を上げた。

「前方の敵、攻撃をかけてきます!」
ワルトハイムが俺を見た。その視線を受けてからスクリーンを、戦術コンピュータのモニターを見た。確かにスクリーンにはヘルダー子爵が攻撃をかけてきている様子が映っている。そしてモニターは敵が総反撃を開始している様子を映している。

「閣下……」
「参謀長、先程の命令を実行してください。それと後退は出来るだけ無様に行なうようにと」
「はっ」

ワルトハイムがオペレータに指示を出すのを聞きながら俺はスクリーンをもう一度見た。敵の予備が動き出している。狙いはどちらだ? 俺か、それともメルカッツか……。 俺の方向にこられると厄介だが、さてどちらだ?

敵の予備がケスラーの方向に向かった。どうやら敵はこちらの左翼を叩こうとしている。後方に出ようとしているのか、或いはケスラー、クレメンツを叩きに来ているということか。まあそちらはメルカッツの責任範囲だ。俺はバラバラになった右翼を取りまとめなければ……。

グライフス、分かっているか。お互いに艦隊の半分はバラバラになった。お前は残る半分で勝負をかけようとしている。だがバラバラになったお前の左翼は誰が取りまとめる? 前面の艦隊を攻撃しつつ左翼を取りまとめる。やるとすればブラウンシュバイク公だが、彼にそこまで出来ると思うか? 俺だって二の足を踏むだろう。

俺にはメルカッツが居る、そし
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