第七章
[8]前話
「ありのままの君でいいって言ってくれたのよ」
「それで素に戻った」
「そういうこと?」
「そうしたら凄く気に入ってくれて」
それでというのだ。
「もういいかなってね」
「干物に戻ったの」
「そうなの」
「そう、私としてもこっちの方が楽だし」
このこともあってというのだ。
「それでなのよ」
「干物モードに逆戻り」
「そういうことなの」
「勇斗さん自分で何でもしてくれて主夫タイプなのよ」
「それであんたは何でもしてもらって」
「干物に戻ったのね」
「そうなの」
つまりそういうことだというのだ。
「勇斗さんがいいっていうから」
「やれやれね」
「折角お洒落してたのに」
「雑誌だって随分読んで研究したのに」
「それが全部消えて」
「逆戻りなんてね」
「それでもいいじゃない」
気力もあまり感じられない返事であった。
「勇斗さんがいいっていうのなら」
「それはそうだけれどね」
「あの亜衣実は何処に行ったんか」
「もう元に戻って」
「そのままでいるつもりなの」
「そうよ」
まさにという返事だった。
「もうこれでずっといくわ、楽だし」
「最後の言葉は本音で」
「あんた的にも楽だからいい」
「だからもう干物でいく」
「そうするのね」
「そう、じゃあ授業までこうしているから」
机の上にだらりと寝そべっているというのだ。
「寝るわ」
「本当に干物ね」
「干物女再び」
「全く、折角お洒落になったのに」
それでもというのだった、そして。
亜衣実はありのままの彼女に戻った、そのうえで勇斗とも幸せに過ごした。力を抜いて素のままでそうしたのだった。
干物女 完
2016・7・22
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