第四章
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「火事だ!」
それでだ、瞬時にだった。
携帯で一一九番をかけた、それから。
家の中に駆け込んでだ、叫んだ。
「火事だ!すぐに逃げろ!」
「火事!?」
「火事って!?」
「早く逃げろ!庭の方が燃えてるぞ!」
こう叫ぶ、家の中に入って駆け回りながら。
すると次郎、三郎、芙美子、美奈子がそれぞれ男部屋と女部屋から出た。四人共寝る時はジャージなのでその姿で出て来た。
その弟と妹達にだ、一郎は血相を変えて言った。
「とりあえず家の中を見ろ!」
「あ、ああ!」
「火の元だな!」
「見付けて消して!」
「そうして!」
「俺は庭の方を見て来る!」
そうするというのだ。
「消防署も呼んだ!やばくなったら逃げるぞ!」
「おい、落ち着け」
「騒ぎ過ぎよ」
弟や妹達に叫び続ける一郎にだ、後ろから両親の声がした。
振り返ると一雄と磨子がいた、二人共寝巻きであるそれぞれのジャージのままだが至って落ち着いている。
そのうえでだ、子供達に言うのだった。
「火事だっていうがだ」
「まずは家族で手分けして火の元を探すの」
「消火器は一階にあるからな」
「それを使って消すのよ」
「家の状況を見たらまだそんなに燃えていない」
「今なら充分間に合うわ」
「親父もお袋も何でそんなに冷静なんだ」
両親にだ、一郎はこう言った。
「そもそも」
「むしろ御前の方が落ち着け」
「そうよ」
こう返した両親達だった。
「焦っても駄目だ」
「いい?まずは落ち着いてよ」
「家族で手分けして火の元を探せ」
「いいわね」
「ああ、じゃあな」
「そして火の元を見付けたらな」
「消火器があるから」
だからだというのだ。
「それで消せ」
「危なくなったら逃げるのよ」
「いいな、とにかくだ」
「まずは落ち着いて手分けしてよ」
「父さんと母さんで一階を見て回る」
「あんた達は二階と外を見て」
二人は息の合った動きで二人に言っていく。
「そして火の元を発見したらな」
「一階の消火器を取って消すのよ」
「消火器は一つだ」
「外に火の元があったらまずは外の水道の水を使ってね」
「ああ、わかった」
二人に言われてかなり落ち着きを戻してだ、一郎は答えた。
「それじゃあな」
「次郎達もだ」
「そうするのよ」
「それじゃあ」
「今から」
他の子供達も両親の言葉に従うことにした、二人のあまりにも息の合ったしかも冷静な自分達への指示に従って。
まずは火の元を探した、するとそこは。
「親父、家の外だ」
「庭の方か?」
「ああ、そこだ」
一郎が家の中の窓を開けて言ってきた一雄に話した。
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