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火宅
第三章
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「それだと大学は行けてもな」
「面接はっていうのね」
「ああ、会社のそれはな」
「じゃあ就活の時は」
「そのファッションは止めろ」
 金髪に付け睫毛に派手なメイク、露出の多い服装はというのだ。
「俺も止めるしな」
「このファッション好きだけれど」
「好きでもな」
 それでもというのだ。
「止めないといけない時が来るんだよ」
「そういうものなのね」
「ああ、だからな」
「就活の時が来たら」
「すっぱり止めろよ」
 自分が決めた様にというのだ、一郎は弟や妹達特に派手な身なりの芙美子に言った、そうして両親の喧嘩は無視することにした。
 だが二人の仲は相変わらず悪いままでだ、顔を見合わせればだ。
 言い合い取っ組み合い殴り合いの喧嘩になる、それは毎日一回は続いていてだ。
 三郎もだ、首を傾げさせつつぼやいた。
「何で離婚の話が出ないのか」
「ああ、それはな」
「不思議よね」
 次郎と美奈子も三郎の言葉に頷く。
「あれだけ毎日喧嘩して」
「私が物心ついてからだし」
「それでな」
「どうして離婚にならないのかしら」
「それは俺も不思議だよ」
 就活に入るすっかり真面目な格好になった一郎も言う、髪の毛は黒に戻りピアスを外し身なりも真面目なものになっている。
「俺達が子供の頃からだろ」
「親父とお袋ああだな」
「喧嘩ばかりだろ」
「毎日な」
 それこそというのだった、三郎も。
「本当に」
「それで離婚どころかな」
 三郎はさらに言った。
「別居もしてないだろ」
「どういう訳か」
「普通はな」
 世間の常識と言われていることからだ、一郎は話した。
「とっくに離婚だよ」
「そうだよ、もうな」
「とっくにそうなってるわ」
 次郎と美奈子も言う。
「最低でも別居だな」
「家庭内とかでも」
「それで離婚にならないなんてな」
 それこそとだ、また言った一郎だった。
「変な話だよ」
「そうよね」 
 芙美子も言う、芙美子の格好は変わっていない。
「よく離婚にも別居にもなっていないわ」
「奇跡みたいな話だな」
「全く以てね」
「何でだ」
 一郎も真剣な顔になり首を傾げさせた。
「あの二人離婚とかにならないんだ」
「喧嘩ばかりしてるのにな」
「それも殴り合いまでして」
「毎日一回はそうするのに」
「どうしてかしら」
「親だけれどそこはわからないな」
 家族であり家でいつも共にいるがというのだ。
「不思議な二人だ」
「本当にね」
 また言った芙美子だった、そうしたことを話しつつだった。
 五人は親達の喧嘩を見ていた、そのあまりにも不自然な状況に。
 そんな中でだ、一郎はこの日も就活に出てそれから友人達と飲んでだった。夜遅く帰ると家の方がだった。
 メラメラと
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