第五章
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「竜と虎が一つになった!」
「補強もしてくれる!」
「やっぱり金も使わんとあかんわ!」
「これはいけるで!」
彼等は口々に叫んだ、そして実際にだった。
阪神は加入した金本知憲達の活躍もあり実際に復活した、しかし途中から怪我人も出て来て優勝はならなかった。
しかしだ、彼等は希望を持った。
「敗因はわかってる」
「夏場や」
「夏場に弱いわ」
「そこを何とかするんや」
「怪我人も減らしてな」
星野もそこはわかっていてそうした補強を行い。
怪我人にも気をつけた、すると。
その次の年、日本中が驚愕した。何と春が終わってもだ。
阪神は勝って勝って勝ちまくった、この事態に誰もが驚いたのだ。
「これが星野さんの力か」
「あの阪神をな」
「ほんまに優勝させるんか?」
「それ奇跡やで」
「次のハレー彗星までないと思うてたわ」
八十五年にハレー彗星が来たことからのジョークである。
「それがか」
「阪神が優勝か」
「八十五年から長かったけど」
「それがな」
「まさか」
「優勝か」
「胴上げ実現か」
まさにだった、その時が近付いてきていた。
道頓堀に人が飛び込む話が出はじめていた、まさかと思いながら。そして遂にだった。
星野は甲子園で宙に舞った、この光景に全阪神ファンが泣いた。
「やったわ・・・・・・」
「遂に阪神の夜が明けたわ」
「暗黒時代が終わったで」
「優勝したで」
「優勝や」
「猛虎復活や」
日本が揺れるまでの歓声の中でだった。
「夢みたいやな」
「長かったけど」
「やっと暗黒時代が終わったわ」
「よかった」
「ほんまによかったわ」
ファン達は心から喜んだ、阪神はこの時から時折Bクラスになることはあったがクライマックスの常連にもなった。
ファン達は彼等の間で今の阪神の状況からだ、こんなことを言った。
「もう二度とや」
「ああ、暗黒時代には戻りたくないな」
「これでな」
「もう沢山や」
「暗黒時代は勘弁や」
こう口々に言うのだった。
「最下位ばっかりで」
「点は全然取れへん」
「エラーは出るし」
「連敗連敗でな」
「たまに勝った思うたらまた連敗」
「そんなのは沢山や」
「ほんまにな」
彼等は心から言っていた、だが。
ここでだ、こうも思って言った。
「けれど今思うとあの頃も結構楽しかったかもな」
「ああ、何だかんだでな」
「わし等あの頃も楽しんでたな」
「それはそれで」
「弱い時は弱いなりで」
「暗黒時代でもな」
その長い暗黒時代をというのだ。
「確かに二度となって欲しくないけど」
「結構楽しんでたわ」
「応援して勝ってくれ言うて」
「負けて全力で悲しんで」
「それなりにな」
「楽しかったわ」
「負
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