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暗い黄金時代
第二章
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 この年は違った、何と。
「あの亀山って凄いな」
「ガッツがあるわ」
「ヘッドスライディングなんてやるな」
「あいつは見所あるで」
「新庄もや」
 亀山努だけでなく新庄剛志もというのだ。
「思いきり振ってるわ」
「三振多いしムラッ気強いけどな」
「足も速いし肩も強い」
「守備も抜群やないか」
 勝負強い長打だけでなく、というのだ。
「こいつもええな」
「助っ人のオマリーとパチョレックもええし」
「ピッチャーも急によくなった」
「ひょっとしたら今年は」
 気付けばだ、誰もが最下位候補に選んでいたがだ。
 阪神は快進撃を続けヤクルトと死闘を繰り広げていた、状況は阪神有利であったが最後の最後で八木のホームランがツーベースになったこともあり。
 二位に終わった、だがこれでファンは息を吹き返した。
「来年や!」
「来年があるわ!」
「来年こそは優勝や!」
「猛虎は蘇ったで!」
「暗黒よさらばや!」
 デイリーだけは活気があったがファン全体にそれが戻ってだった。
 阪神ファン達は再び来年だと言える様になった、しかし。
 九十三年と九十四年はぱっとせず九十五年は。
「打てんわ」
「クールボーとグレンって何や?」
「目立たんな」
「気付いたらオマリーヤクルトにおるし」
「めっちゃ活躍しとるし」
 ヤクルトの四番になり明るい笑顔で活躍する彼を見て言うのだった。
「こっちはゼロ行進や」
「更新って言ってもええな」
「全然点取れんわ」
「ゼロで地球一周しそうや」
 こうしたジョークまで出る、当然ながら最下位で中村は退団となり藤田平が監督になったがこの彼もだった。
「守りの野球や!」
「勝って自信をつけるんや!」
 同じ人間が言っていた、他ならぬ藤田自身が。
 藤田は選手達をしごいて育てようとした、しかしであった。
 阪神は相変わらずだった、昨シーズンと同じく。
 負けて負けて負け続けた、ファン達の足も球場から遠のく程であり甲子園には絶望の帳が降りて締めとしてだ。
 藤田は退団となった、しかもここで。
「何かけったいな話やな」
「おかしな退団の仕方や」
「またこの伝統復活か」
「小山、江夏、田渕、江本、バース、掛布、岡田ってな」
 言うまでもなく阪神のスター選手達だ。
「監督交代もそやけど」
「毎回お家騒動やな」
「マスコミを騒がせる」
「そっちで話題や」
 このことにも暗澹となるファン達だった。
「負けてお家騒動」
「揉めての監督退陣」
「もう嫌や」
「何時まで続くんや」
 暗黒時代に逆戻りだった、明らかに。藤田の後任は日本一になった監督であった吉田であったが。
「新外人のグリーンウェルって何時来るねん」
「もうシーズンはじまったで」
「中々来んな」
「ほ
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