第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#29
ETERNAL PUNISHMENT〜PHANTOM BLOOD NIGTMARE]W〜
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締めにしても無駄、砲弾は意識の外から襲来する。
「本体」 剥き出しの近距離から、単純に弾道を曲げるだけの
『皇 帝』 等とはレベルが違う。
遙か遠距離から、弾の種類を選ばす、“二重の狙撃” を行うコトが可能なのだ。
幾ら威力の在る焔儀でも、この 『スタンド能力』 の前には空回り。
熱くなればなるほど、その隙を突かれ発動前にあらゆる角度から狙撃される。
「蒼 蓮 拾 参 式……」
漏らした吐息にさえ蒼火が混じる激高の中、
嵐の前の静けさ、交差した美女の両腕が高々と天空に掲げられる。
遠方より砲音、しかしソレがどの方角から跳ね返ってくるのかは
花京院にも解らず、美女はそのコトに気づいてさえいない。
“アルムブラスト・R”
ドイツ語でクロスボウを意味する対戦車擲弾発射器。
口径87o、発射速度410m/秒。
閉所でも機能的に運用可能なその砲身から射出された成形炸薬弾 (HEAT) が、
唸りをあげて迫る秒速の随に、花京院は乾坤一擲の想いで叫ぶ。
「トーガッッ!!」
「――ッ!?」
既に練成完了、発動の体勢に入っていた閃熱焔儀が両手から消えた。
即座に解けて、使える要素は残したまま再構成される存在力。
アスファルトの上に浮かぶ蒼き法陣、鏤む火の粉に絡まる翡翠燐光。
二つの存在が融け合って輝きに成ると同時に、
頭上右斜角から物理慣性を捻じ曲げて加速した砲弾が
力 積と共に爆裂した。
ヴァッッッッッッグオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォ
ォォォォォ―――――――――――――――――ッッッッッッッッ!!!!!!!!
猛禽の王、鷹の嘴の如く歪む口唇。
スコープ越し、第 一 任 務完了を確信した狙撃者は、
次なる獲物を狩るため陶酔を醒ます。
束の間とも言えぬ微かな休息、
アノ御方の姿を一瞬だけ脳裡に過ぎらせた刹那、
完全無欠の兵士は想わず我が眼を疑った。
鋼鉄の理性を介さずズームアップされる照準、
立ちこめる黒煙、裡に孕む炎、
視界越しでも焦げた匂いが鼻腔に焼きつく破滅の光景。
ソレを背景に、無数の獣が爆心から飛び出してきた。
先刻視た、獰猛と諧謔を折り合わせた異形の獣。
総数13体それぞれが砕けた翡翠の破片で彩られ、
神秘と酔狂が入り交じった風采を醸し出している。
爆轟波で大きく飛び上がった獣の貌が、
絞った照準を埋め尽くすほどに迫った。
ノコギリのような牙、刻印のような瞳、刃のように尖った毛皮、
無欠の兵士はスコープから眼を離さず照準のみを換える。
再度俯瞰、飛び出した13体の
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