第二十二章
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言えずだ、こう答えたのだった。
「あります」
「そう、じゃあ面白い場所に行きましょう」
「面白い場所、ですか」
「貴女がこれまで知らなかった世界にね」
「それは何処ですか?」
「まずは貴女のお家に行くわ」
「私の、ですか」
ここっだ、少女はふと自分から言ってしまった。沙耶香の琥珀の瞳に見詰められているとどうしてもそうせざるを得なかったのだ。
「今は一人ですが」
「そうね、目でわかったわ」
「私の」
「そう、そこでわかるわ」
「じゃあ」
「行きましょう」
沙耶香は少女に彼女の家まで案内させた、少女が案内した家は品のいい造りのマンションでありその六階にあった。
その六階の部屋に入ると部屋は広く見事な建築だった。沙耶香はその部屋の中を目で見回して言った。
「いいお部屋ね」
「はい、お母さんは元々は東側に住んでましたけれど」
「お父さんは西側ね」
「壁が消えてから巡り合って」
東西を隔てていたベルリンの壁がだ、それがなくなってだ。もうウエストサイドストーリーの時代ではなくなってだ。
「今はこのマンションに家族と一緒に住んでいます」
「新しいわね、統一してから建てられたマンションね」
「はい、西側の資本で」
「もう東ドイツの面影は消えているわね」
ベルリンはおろかドイツ全体でだ、もうベルリンの壁もなくなっている。
「そのこともわかったわ」
「私が生まれる前に統一されましたが」
壁もなくなった、まさにその時に。
「そうした歴史はありますね」
「今もね」
「はい、それとですが」
「面白い場所ね」
「それは一体」
「こういうことよ」
沙耶香はこの言葉と共にだ、少女の日本人の沙耶香から見れば随分と体格がよく骨も太いがそれで少女独特の香りがする柔らかい身体を抱き寄せて。
そうしてその唇を吸った、すぐに舌も入れて少女の舌を絡め取り驚いている顔になっている少女の目を見た。唇を奪いつつ少女を見詰めた。
するとだ、少女の目は次第に。
沙耶香の舌に自分の舌を絡め取られその周りを蠢かれ抱き締められている間にだ、驚愕の目を次第に恍惚としたものにさせゆっくりと閉じていった。そうして。
少女も沙耶香の身体を抱き締めた、それからは沙耶香のものだった。
沙耶香は少女のベッドの上で横にいる少女を抱き締めつつだ、妖しい微笑みで言った。
「素敵だったわ」
「まさか」
「こうした世界は知っていたわね」
「はい、本やインターネットの知識では」
少女は裸だった、そのうえでやはり裸で自分を抱いている沙耶香に答えた。
「ありました」
「けれど実際の経験としてはね」
「知らなかったです」
「そうね、けれどこれがよ」
「面白い場所、ですか」
「世界と言っていいわね」
沙耶香はここで
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