第二章
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「お姉ちゃんがお部屋に戻る前に麦茶飲みながら選んでて」
「その麦茶を零したのね」
「コップひっくり返して」
「全部濡らしちゃって」
「洗濯に出したの」
「ああ、それは失敗ね」
「だからさっきまで穿いてたパンツだけだったのに」
千秋は残念な顔で言った。
「それがないと」
「それなら余計によ」
「パンツ貸してくれるの」
「ついでに貸すけれど?」
姉は本を読みつつ妹に視線をやらないまま言った。
「どう?」
「ブラも?」
「そう、あんたまだ着けてないでしょ」
「ちょっと」
自分の小さな胸を見ての返事だ。
「それは」
「じゃあね」
「そっちも貸してくれるの」
「遠慮は無用よ」
やはり視線は本に向けたままだ。
「じゃあね」
「ええ、それじゃあ」
「ブラもね」
「持って行くわね」
「あんたもそろそろ必要よ」
「ブラも?」
「まだ小さいけれど」
胸の話だ、言うまでもなく。
「そろそろの大きさだから」
「だからなの」
「もう着けてね」
そしてというのだ。
「やっていくといいわ」
「それじゃあ」
「そっちも貸すから」
「有り難う、それじゃあ」
「好きなの一組持って行ってね」
「うん、まさかね」
「ブラまでって思ってなかったでしょ」
やはり本を読みつつだ、一夏は千秋に問うた。
「そうでしょ」
「ちょっとね」
「だったらよ」
「ここではじめて」
「着けていったらいいわ」
「それじゃあね」
千秋も頷いてだ、姉の箪笥の下着の場所からそのブラとショーツを出した。そのうえで姉に対して言った。
「上下共白のね」
「そっちなの」
「そのうちの一つ借りたわ」
「わかったわ、シンプルなの選んだのね」
「そうね、色は」
柄も何もない純白だ、そうしたものだった。
「私も白が好きだし」
「私もよ、やっぱり下着はね」
「白よね」
「それが一番いいわ、じゃあ」
「ええ、借りてくわね」
「そろそろお母さんにも言ってね」
姉はまた言った。
「あんた用のブラもね」
「買ってもらうわ」
「千春お姉ちゃんみたら大きいし」
二人の姉だ、中学三年だが巨大な胸を持っている。顔立ちは二人と同じだが。
「一冬もね」
「あの娘も」
二人の妹で末っ子だ。
「そのうちなのね」
「大きくなるわよ」
「そうなのね」
「私達もね」
「そういえばお母さんも大きいし」
「ブラもね」
「大きいの必要なの」
こう二番目の姉に返した。
「そうなるの」
「四人共お母さん似だから」
「ううん、本当かしら」
「多分そうなるわよ、何か私も最近妙に」
一夏は自分のシャツの襟のところに手をやってちらりとシャツの中を見た、そのうえで妹にまた言った。
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