第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#28
FUTURE’S MEMORYW〜Diamond Over Drive〜
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「まだ……生きてるかい?」
『あぁ……』
静寂に包まれた破壊痕の中心で、二人の男は言葉を交わした。
周囲から立ち昇る、波紋傷の煙、しかし苦痛も苦悶もなく、
巨竜は穏やかな表情を浮かべていた。
『アノ、 “子供” は……?』
「消えた……でも死んだわけじゃあねぇ。
必ずオレが救ってみせる。
そして、絶対に見つけだす……!」
助けられたのに救う?
異なと想いながらも巨竜はすぐその理由に至った。
『そうか……貴様の 『子』 か……』
「……」
無言が肯定だった、ならば自分が敗れたのも、幾分合点がいく、
“アノ方” も、きっと同じように……
『貴様の勝利だ……波紋の戦士……
敗れた私が言うのも妙だが、見事な戦い振りだった……』
「 “引き分け” さ……アイツの 『能力』 がなかったら、
オレは途中で死んでた……」
『フッ…… “全ては結果” だ……
アノ 『子供』 が現れたコトも含めて、な……
さしもの巨竜も、泣く幼 子には敵わなかったという事だ……』
頭を掻く男の前で、消滅する、己の巨体。
光と共に全身に廻った波紋は、着実に存在を融かしていく、
思い焦がれた 『壮挙』 と共に。
でも、不思議と後悔はない。
まるで “こうなる為に” 甦った、
そう想える、奇妙な実感と共に。
『終わって……いたのだな……私の望むスベテは……
五百年前のアノ時に……
アノ方が逝かれた……ソノ時に……』
頭の片隅で、形無く漂っていた想い、
ソレを認めたくなくて天使の囁きに応じた、
悪魔の誘 いだと、充分に承知していながら。
壊れた 『器』 を、必死に元に戻そうと、
その破片を拾い集めていた。
「 “花は、散るから美しい” 」
傍で腰を下ろした男が、おもむろに呟いた。
「オレの、親友が、好きだった言葉だ。
本ッ当にキザったらしくて、イケ好かないヤローでよ」
『フッ……どこも、似たようなモノだな……』
口元に笑みを浮かべるジョセフに、イルヤンカも微笑で応じた。
死力を尽くした男同士だけに生まれる、純粋な感応だった。
『……それも、悪くないやもしれぬ……
私が取り戻そうとしていた “鐘” は、
別の 『と む ら い の 鐘』……
仮に宿願果たせたとしても、アノ時と同じ音色は、
もう、聴こえぬのであろうな……』
どんなものでも、命は一つ。だから存在も、たったの一つ。
消えたものは戻らない、もう二度と、取り返しはつかない。
でもそれ故に掛け替えがなく、儚いから美しいモノ。
舞い散る花片の中、幾つもの追憶が、巨竜の心中に過ぎった。
スベテは、終わ
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