暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
正念場
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シーでも随一の職人クラスのプレイヤーが作成したという分厚い樫の扉は、聞き耳や覗き見スキルに対しての耐性があり、よほど高ランクのものでなければこの扉越しに中の様子を窺うことはできない。

だが、少年は理屈ではなく本能で感じていた。

―――ここだ。

ドアノブが重い。

少年は――――ファフニールという少年は息を詰め、一息に扉を開け放った。

そこには。



戦場が広がっていた。










風妖精(シルフ)からの返事はまだかッ!!?一刻も早い返事がいるんだッ!!急がせろッ!!!」

「こっち!人員回してー!!」

「部長ー、鉱山都市(ルグルー)から緊急入電ー」

「マンダー領に向かった調査隊は!!どうなった??!」

「待てッ!その情報に信憑性はッッ!!」

音楽妖精(プーカ)の友達から、土妖精(ノーム)領から大量の兵が出るの見たって――――」

「落ち着けっ!落ち着いて話せッッ!」

鍛冶妖精(レプラコーン)領から出立したキャラバンがまだ到着してないとのことで……」

「報復論唱えるヤツぁ叩き出せ!どうせやることやる度胸もねぇクソどもだ!」

「ん?何これ?何で水妖精(ウンディーネ)から抗議文が???」

「欠伸だろうがWC落ちだろうがなんでもいい!!とにかく交渉を一秒でも伸ばせ!」

飛び交う怒号。

あちこちでお手玉のように舞う書類。

天板を叩く拳の悲鳴。

決して剣と魔法では解決できない戦場が、そこには確かにあった。

荒れ狂う感情の波に圧されたように立ちすくむフニに、扉付近にいた執政部の一人が気付く。

「ッお前!確か調査隊の隊長だったな!!」

書類上だけです、という蚊の鳴くような声は、ケットシーにしてはガタイのいい彼女には届かない。

オヤジのような胴間声を響かせながら、少年の首根っこを引っ掴んで人込みの中をかき分けていく。

「おいアリシャ!調査隊が帰ってきたぜ!」

放り出されたのは、戦場のド真ん中。

会議室の最上席に座る領主、アリシャ・ルーその人は彼女の声にパッと顔を跳ね上げた。さすがの彼女でも幾分覇気は失われているが、それでもそれをおくびにも出さないこの人は充分バケモノだ。

「待ってたヨー、フニくん!定時連絡が途絶えたから何があったかと思ってた!」

笑う領主だが、さすがに常ならざることが起きたのは薄々勘付いているのだろう。

火妖精(サラマンダー)領ガタンの大砂漠からここまで帰ってくるのには、フニの登場は速すぎた。ここにいるということは向こうで死亡し、しかも蘇生魔法をかけられるヒマもなくここフリーリアに死に戻りした結果だ。

執政部連中は、普段自領の統治活動に時間を
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