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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十一話 決戦、ガイエスブルク(その1)
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かるにつれ困惑と驚きが会議室に広がり始めた。
帝国暦 488年 3月 3日 ガイエスブルク要塞 アントン・フェルナー
「哨戒部隊より報告です! 敵、大兵力にて要塞に向け移動中!」
オペレータの報告に大広間が緊張した。先日、エーリッヒが自ら偵察に来て以来、攻撃は間近と見てグライフス総司令官は哨戒部隊を出していたが、どうやら今日が決戦の日らしい。
「グライフス総司令官、敵が来たようだな」
「はい、どうやら今日が決戦の日のようです。全軍に迎撃命令を出します」
「うむ」
総司令官とブラウンシュバイク公の会話に大広間の緊張はより高まった。
「全軍、敵を迎撃せよ」
グライフス総司令官の命令と共に各艦隊の司令官が出撃準備に入った。出撃準備といっても大した物ではない。艦隊は既に要塞の外で待機中だ。連絡艇で己の旗艦に向かうだけだ。
「フェルナー、後を頼むぞ」
「はっ」
ブラウンシュバイク公が強い視線を向けてくる。敬礼をすると公は力強く頷いた。
後を頼む、ブラウンシュバイク公の言葉には二つの意味がある。一つはタイミングを掴んでガイエスハーケンで敵に一撃を加える事。もう一つは最悪の場合はエリザベート様を守る事。公が大広間から出るのを見届けてから司令室に移動した。
要塞司令室には既にリヒャルト・ブラウラー大佐、アドルフ・ガームリヒ中佐が居た。そして女性が二人、エリザベート様とサビーネ様……。
「後どのくらいで敵は来る?」
「大体二時間程でしょう」
ガームリヒ中佐が答えた。二時間、それだけあれば十分に準備を整えられるだろう。
予定では艦隊はガイエスハーケンの射程外で陣を布く事になっている。そして敵と戦うが敵のほうが兵力が多いからおそらく戦局はこちらが押される形で推移するはずだ。当然味方はガイエスハーケンの射程内に後退する。そして時期を見計らって艦隊は天底方面、天頂方面に急速移動し敵をガイエスハーケンで攻撃する。
タイミングの難しい作戦だ。しかし勝つ方法が有るとすればこれしかないだろう。注意すべき点は混戦にならない事だ。混戦になっては艦隊を移動させる事が難しい。もう一つは敵に側面を突かれて混乱しない事。貴族連合軍の錬度は決して高くない、正面はともかく側面からの攻撃には要注意だ。
徐々に艦隊が要塞を離れていく。無用な混乱を防ぐため既に艦隊の布陣は決まっており、その布陣どおりに移動していく。
艦隊は左翼からクライスト大将、ハイルマン子爵、ヘルダー子爵、カルナップ男爵、ブラウンシュバイク公、グライフス総司令官、コルヴィッツ子爵、ホージンガー男爵、ランズベルク伯爵、ヴァルテンベルク大将だ。グライフス総司令官はブラウンシュバイク公の艦隊三万隻の半分を率いる。そして他にフォルゲン伯爵
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