第7話(改2.4)<白い波濤>
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艦娘は皆、過酷な状況を通過して生き残っている。危険な最前線に駆り出されているのだ。一方の人間は安全な後方だ。
(あの忌まわしい冬の日本海の如く)
そう思った私は胸が痛んだ。
軍用車が松林を抜けると急に目の前に視界が開けた。真っ青な海。久しぶりに見る日本海だった。
今日は風があるので時おり白い波濤が砕けている。とても力強い。
軍用車だから潮の香りを直接、肌に感じる。
「やはり海は良いな」
思わず呟いた。最近は陸上勤務が多かったから、なおさらだ。
隣の寛代も長い黒髪を押さえている。そして気のせいだろうか? 少し微笑んでいるようだ。この子も海を見て何かを感じたのだろう。
松林を抜けて片側2車線の幹線道路を行く。
「閣下、あそこです!」
彼が指差した松林の向こう側にうっすらと赤い建物が見えていた。
「なるほど」
憲兵さんの言う通り駅から歩いたら、かなり時間が掛かりそうな距離だ。
(やれやれ……人の話は最後まで聞くものだ)
と素直に反省をした。今回は親切な憲兵さんのお陰で助かった。人との出会いは大切だ。
「あ……」
私は寛代を見て思わず声を掛けた。
「お前との出会いもな」
「……」
彼女は髪の毛を押さえながら、こちらを見た。
無表情だったが最初に出会ったときよりも人間らしい感情の動きを感じた。このとき私は改めて艦娘にも感情があることを覚った。
艦娘との出会いも人類にとって重要なことなのだろうか? そんなことを考えた。
以下魔除け
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