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IS ーインフィニット・ストラトスー 〜英雄束ねし者〜
12話『転校生』
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(ったく、それにしても何を考えてるんだか……)

 今朝義父から聞かされた言葉を思い出しながら四季はそんな事を思う。
 日本政府としてもDEMの持っている秘匿技術は欲しいのだろう、IS学園のDEMからの技術交渉の対価にそれなりの品を出して来る…………と言う名目で厄介ごとを押し付けようとしてきた。

 日本政府からのDEM側への対価の1つに倉持で開発中の新型ISとそのコアで、名称『打鉄弐式』がある。
 それは、一夏達の専用機開発の煽りを受けて開発中止になった日本代表候補生の専用機である。

 今朝その話を聞いた時、思わず詩乃と一緒に言葉を失ってしまった訳だ。……要するに、技術提供を受ける上に、投げ出した専用機の開発を押し付け、専用機を通じてDEMのワンオフ機に使われている技術を盗もうと言う訳である。
 現状、四季のIS学園への入学の際の特権の交換条件として量産型νガンダムの優先的な購入権を日本とIS学園は持っているのだが、日本政府としては量産型第三世代だけでは満足いかなかった様子だ。

 ……実はその日本代表候補、立場上それなりに日本政府としても粗末に出来ない相手であり、本来ならば彼女の専用機の開発のためのスタッフは確保していたが、そこに千冬からのごり押しによる三機目の専用機の開発……その頃はモノクロだった『蒼式』である。
 ブリュンヒルデと言う名の移行の元による千冬からの倉持側が圧力に屈した、使いもしない専用機が無駄に作られその結果、日本代表候補生の開発が一時的とは言え中止になった訳である。

 その結果、その家と日本政府の関係に溝が出来てしまった結果……無駄に作られ未だに使用者の居ない蒼式のパーツを流用してでも完成させろと倉持に言う政府と、四季に渡すと言って返却しない千冬の間で板ばさみになる倉持と言う構図が出来上がった……。
 ぶっちゃけ、日本政府は無理矢理渡した所で遣われること無く部屋の隅で埃を被る事になるか、DEMでその日の内にバラバラに解体されるのは目に見えていた。だからこそ、無駄に作られた機体を使って完成させろと倉持に対して言っているらしい。
 DEMのISは全て『宙空間活動対応可能』が最低条件……当然ながらそのパイロットである四季も宙空間活動の出来ないISは下手な癖が付くだけ使う価値が無いと判断している。

 実際、四季も元姉の被害者と言うべき日本代表候補生には同情する……。本来ならば、助け舟を出して倉持から開発途中の買い取った上でDEMで完成させても良いと言っていた義父だが、彼女の名前を聞いた瞬間に前言を撤回させた。

 『更識 簪』

 それが代表候補生の名であり、義父と『更識』の名の間には1つの因縁がある。それを理解しているから、面識の無い四季は義父の言い分に同意した。

 一族間のパワー
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