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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百十話 挑発
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小官などがやるよりずっと効果的です。閣下が喧嘩を買うのが上手い事は知っていましたが、喧嘩を売るのはもっと上手い。驚きました」
「……」

本気か? 周囲を見るとワルトハイムもシューマッハも頷いている。心外だな、俺はそんな嫌な奴じゃないぞ。ヴァレリーなら分かってくれる、そう思って彼女を探すと懸命に笑いを噛み殺している彼女が居た。その隣に同じように笑いを噛み殺している男爵夫人がいる。俺は周囲から理解されていない、寂しい限りだ。

いかんな、落ち込んでる場合じゃない。気を取り直して命令を出した。
「ミッターマイヤー提督に連絡、貴族連合軍を挑発せよ、敵が攻撃してきた場合は出来るだけ見苦しく逃げてくるようにと」
「はっ」

ミッターマイヤーなら上手くやってくれるだろう。何と言っても原作でも貴族連合を挑発しまくってくれたからな。先ず三日から四日か、その程度は餌を撒き続ける必要がある。今月末から来月初旬が山だ。





「申し訳ありません。敵は一向に動こうとはしませんでした」
スクリーンには面目なさそうに報告するミッターマイヤーが映っている。彼が挑発行動を始めて今日で四日が過ぎたが貴族連合はピクリとも動かない。予想外だ。

「ご苦労様でした、ミッターマイヤー提督。敵も必死なのです、そう簡単には行かないでしょう」
溜息が出そうになったが、慌てて堪えた。面目なさそうなミッターマイヤーの前でやることじゃない。敵が喰い付いて来ないのは彼の責任ではないんだ。落ち込ませるような事はすべきではない。いつもと同じように笑みを浮かべるんだ。

「明日は如何しましょう、続けますか?」
ミッターマイヤーは何処と無く自信なさげな表情だ。どうやら余り効果がないと考えているらしい。さて、どうしたものか……。

「……明日は少し趣向を変えましょう」
「趣向を変えると言いますと?」
「まあ、それは明日の楽しみという事にしておきましょう」
そう言うともう一度ミッターマイヤーを労ってから通信を切った。やれやれだ。

ミッターマイヤーとの通信が終わると待ちかねたと言わんばかりのタイミングでリューネブルクが話しかけてきた。
「予想外、ですかな。あれだけの熱弁が無駄になるとは」

嬉しそうに言うな、この野郎。
「ミッターマイヤー提督の所為では有りませんよ。私の想定が甘かっただけです。或いは私の喧嘩の売り方が下手だったのか、多分両方でしょうね」
俺がそう言うとリューネブルクは苦笑を浮かべた。

ミッターマイヤーを庇っているつもりは無い。原作では彼はこの時期、「疾風ウォルフ」と呼ばれて勇将としての名を確立しているが、この世界では未だそこまでの名声は無い。敵に対するインパクトは弱かったのかもしれない。

それでもコルプト大尉の一件がある。ブラ
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