第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#27
FUTURE’S MEMORYV〜Forever&ever〜
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指先の震えが止まり照準はピタリと巨竜の隻眼を射抜く。
コレが当たっても当たらなくても、ジョセフの死は確実。
しかし今や紅世最強の王と成った
“真・甲鉄竜” イルヤンカは此処で斃せる。
運命を決めるトリガーに指がかかった。
そのまま弾かれる、時の引き金。
しかし。
ヴェシャアアアアッッ!!
衝撃、イルヤンカに向けた右腕がボーガンごと視界から消えた。
前を向いていた筈なのに、山吹色に染まる封絶の空を見ていた。
放心状態で瞳を動かした、先。
「……」
大爪のギラつく、巨竜の前脚がすぐ傍に在った。
大地にメリ込むその下には、自分の……
スベテの終幕、絶望の極致を認識するより、惨苦が脳幹を劈いた。
「……う、うあ! うあぁぁッッ!!
うあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!」
先刻のイルヤンカにも匹敵する、極限の絶叫が響き渡った。
幾ら頑強な肉体を持っているとしても、巨竜の踏みつけに耐えられる筈などない。
嘗て “アノ男” に斬り落とされたのと同じく、
ジョセフの右腕は再生不能な迄に潰滅した。
最後の希望を託した、 『切り札』 と共に。
コレで、ジョセフの勝てる可能性は完全なるゼロ。
立ち上がれず両腕もなく、波紋も練れなければその道理がない。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッッッッ!!!!
貌半分が崩壊し鱗が零れて剥き出しになった内殻を戦風に晒しながら、
凄まじい形相でイルヤンカはジョセフを眇めた。
“屍 生 竜”
その魔力こそ失われるが裡に宿った瘴気と狂気により、
生前の倍以上の殺傷力を持つと云われる、想像上の魔物そのままの姿だった。
老獪ではあるが、短慮でもなく穏和なこの王が、
ここまで殺意を露わにするのは珍しい。
その理由は、本当に本当にジョセフに追い詰められていたというコト。
瞳の裡で回転する鉄球には何とか耐え抜いたが、
最後の一撃を喰らっていたら間違いなく頭部全面が爆砕していた。
そして、それに対抗する術も存在しなかった。
ジョセフの右腕を踏み潰した先刻の反撃も、半ば破れ気触れのもの。
片目が潰されていたので遠近感が掴めず、
頭蓋を攪拌されていたので視界はドロドロに歪んでいた。
故に当たったのは本当に僥倖、
僅かに右へ逸れればジョセフの全身を潰していたが、
“左に”
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