第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#27
FUTURE’S MEMORYV〜Forever&ever〜
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諭すような言葉に、ようやく不屈の男も受け入れたか、
ボーガンを握った手が下がり、持ち上げた躯も戦気を無くしていく。
「ガハァッッ!!」
同時に、身体の中の様々な堰が切れたのか、口からドス黒い血が吐き出された。
内臓に甚大なダメージが有る時の喀血、蠕動した躯の震えでボーガンが手を離れ、
大地にブツかった衝撃で鉄球がイルヤンカとは明後日の方向に飛んでいった。
「ぜぇ……! はぁ……はぁ…………」
漏れる呼吸も、どんどん小さくなっていく。
視点も覚束ず虹彩は輝きをなくしていく。
最初の瞳の色は、最早視る陰もない。
終わった、本当に終わった、勝利の高揚よりも戦いの寂寥を感じながら、
イルヤンカは再び前脚を擡げた。
『本当に、よくやった……』
勇者に手向ける、巨竜の告別。
『少々惜しいが、いま楽にしてやる……』
「少々惜しいが、いま楽にしてやる……」
『ハッ!?』
折り重なった二つの言葉、震える躯で首だけを起こし、
逆水平に構えた指先をジョセフがイルヤンカに向けている。
ギャギィィィッッ!!
心中を見透かされる、一瞬の空隙、その所為でイルヤンカは
その反発音に気づかなかった。
ズギャアアアアァァァァッッ!!
同時に、頭上後方で鳴った金属反響。
『ヌウゥゥゥッッ!?』
気づいた時にはもう遅い!
『幕瘴壁』 が滲み出るよりも速く、
放物線を描いて無効化した筈の鉄球が直線落下軌道で
イルヤンカの左眼に喰い込んだ。
『GOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO
GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
―――――――――――――――――ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!』
周囲の残骸が上空へと吹き飛ばされる巨竜の絶叫。
至近距離で浴びれば鼓膜が再生不能なまでに張り裂けるが、
死の淵に瀕しているジョセフには余り意味がない。
着弾した鉄球、血に濡れて波紋を帯びたソレはギャルギャルと高速で回転し、
その衝撃が波紋効果を倍増させイルヤンカの頭蓋を砕いていく。
血の変わりに撒き散らされる鈍色の炎、融けた竜鱗。
不死を超えた 『柱の男』 さえ撃ち貫いた威力故に、
その下層に位置する “吸血鬼” への効果は絶大。
不滅の巨竜、鎧の竜王と云えども例外ではない、
頭部を破壊されて生きていられる生物など、この世のどこにも存在しない。
(……ま、またまた……ま、た……
ヤらせて……いただき……ましたぁ……ん…………)
失いそうになる意識を繋ぎ止めるために、
ジョセフはいつもの口調を紡ぐ。
その、急転直下の一撃、暗 澹 冥 濛の状況下を
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