最終話 みんなの笑顔
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』を披露したに過ぎないが」
「……へっ、そうかよ。つくづく、自信過剰野郎だなオメーは」
そのやり取りを最後に、セドリックはカケルとすれ違い――ゼノヴィアが乗ってきた宇宙艇に連行されていく。最後まで、カケルはセドリックの方を見向きもしなかった。
――この一件はカケルにとっては「戦い」ですらなく。セドリックの撃墜など「曲芸」を盛り上げるためのスパイスでしかない。
言外かつ冷酷に、そう言い放たれたセドリックは――憑き物が落ちた表情で、自分を完膚無きまでに打ちのめした男の背を見遣る。
彼にはわかっていたからだ。「戦い」未満と宣告された上で、実力で叩きのめされたこの結果が――義賊としてのポリシーに反した自分に対する、彼なりの「報い」なのだと。
「――やはり、セドリックはあなたの差し金でしたか。ハリオンさんからオレのことは聞いたようですが」
「えぇ。戦後、あなたと決着が付けられないウサを、銀河のあちこちで晴らしていたからね……。軟弱者ばかりになった軍部では抑えられない状況だったし、いい機会だと思ったのよ」
「情報を流してオレにぶつけさせ、鎮静化させるついでに、今のオレの力量を測るため――ですか」
「ええ。そして、あなたの力は三年程度の眠りでは到底錆び付かない域に達していた――という結論に至ったわ」
一方。ゼノヴィアは淡々と、己の決断と行動を、悪びれる気配もなくカケルに語る。それが正しいのだと信じてここまで来た、と言わんばかりに。
――そんな二人を。
駆け付けたカリン達は、不安げな表情で見守っていた。特にゼナイダは、敬愛していた母がラオフェンを取り戻すために、この町に危機を呼び込んでいたと知り――複雑な面持ちを浮かべている。
「――ラオフェン・ドラッフェ大尉。改めて通告します。あなたのあるべき姿で、コズミシア星間連合軍に復帰なさい。この宇宙の救世主たるあなたが、このような辺境惑星にいる理由などありません」
「――謹んで、お断りします。ラオフェン・ドラッフェはすでに世間的にも、書類上でも死んだ身。死人がこの世に顔を出す理由などありません。竜造寺カケルは、己の夢に生きるただの曲芸飛行士です」
互いの宣言が、真っ向から対立する。静寂に包まれる中、二人は真摯な瞳を揺るぎなく交わしていた。
カケルを連れて行くなんてとんでもない! と言わんばかりに暴れるカリンをゼナイダが取り押さえる中――先にゼノヴィアが口を開いた。
「……あなたの願い。戦う理由。その全てを総司令官から伺ったわ。『みんなの笑顔』――それがあなたの力であり、全てだと」
「はい」
「この星の……この町の『みんな』が、今のあなたの全て? 惑星アースグランドに、『ジャパン・エンパイア』に、全てはないの……?」
「あの星のみんなは、ラオフ
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