第5話(改2.5)<私たちが護る>
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いう体たらくか?
ふと人の気配を感じて振り返ると、あの少女がいた。チョット慌てた。
「おい、外に出ると危ないぞ」
「……」
何を言っても少女は無言だ。
私はポケットから簡易双眼鏡を取り出して言った。
「空軍も、弾切れか?」
「……」
不思議と、その少女に反応を感じた。
普通、軍の知識が無い民間人に何を言っても暖簾に腕押しだが。何となく私の意図を理解している。
(変わった子だな)
そういえば息切れしないし戦場を恐れない。それはまるで戦闘慣れしたゲリラみたいだ。
私は滑走路周辺の様子を見て呟く。
「空もダメか?」
空軍が、このまま攻撃力を失えば、この地域の守りが手薄になる。放置すれば遠からず弓ヶ浜への敵の上陸を許すことになる。
「くそ!」
双眼鏡から目を離した私は悪態をついた。だが現在の私には何も出来ない。ただ手をこまねいて見ているしかない。
そのとき私の隣にいた少女がまた呟いていることに気がついた。
「距離12500……小型機3」
彼女の顔を見ると澄んだ瞳で微笑んだ。日が差して彼女の栗毛交じりの長い髪の毛が風になびいてキラキラしていた。
「大丈夫」
「え?」
「私たちが護るから」
その言葉の直後、何かが滑空してくる気配がした。少し遅れて、かなり遠方からドドンという鈍い音が響き渡る。
(この威圧感は……)
直ぐに悟った。
「艦砲射撃か!」
それも通常の艦艇ではない。紛れも無く艦娘だ。反射的に空を見上げた直後、私たちの目の前に閃光がきらいて何かが敵機に命中した。
最初の一発目が寸分も違わず敵に直撃した。間髪を入れず残りの敵機にも次々と砲弾が打ち込まれる。
「弾着観測射撃……」
遥か遠くからは連続で発射音が響く。この砲撃音は恐らく大口径の砲塔から発射されているはずだ。
「美保鎮守府の艦娘か?」
すると目の前の少女が私に軽く頷く。
そのまま彼女は指示を続ける。
「修正、北東マイナス250から350。現地、風速5程度」
(ひょっとして、この子も艦娘なのか?)
その後、数発続いた砲撃によって敵機は完全に制圧された。私は直ぐに防空壕の扉を開けて中の乗客たちに声をかけた。
数名が様子を伺いながら外へ出てくる。数人に続いて出てきた親子が言う。
「ねえママ、もう大丈夫?」
「そうね……」
そして先に出た人たちの間から感嘆の声が上がった。
「おぉ」
「すごい」
私たちの眼前には攻撃を受けた惨状と合わせて敵機が撃墜された情景が広がっていた。それは軍人でなくとも溜飲が下がるだろう。
ところが、なおも遠くから砲声が響く。
「あれ?」
まさかと思う間もなく敵の居ない草原や空
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