第5話(改2.5)<私たちが護る>
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ロ。特に艦娘が混じるとダメだった。
呼び出され軍の適性検査を受けても異常なし。机上演習でも平均以上の成績で結局、軍令部も 『原因不明』 として匙(さじ)を投げた。
以後は地上勤務=地域の住民対応が増えたが私は腐らず黙々と任務をこなした。
学生時代に悩んで軍人を辞めようと思ったこともあるが、その後はブレずに軍人を続けていたワケだ。
空襲は止む気配が無い。時折、ズシンという地響きが伝わってくる。避難している人たちも不安そうだ。
普段から酒も煙草も女も買わない私は『マジメ君』の通り名もあった。それが僻地へ飛ばされなかった一因かも知れない。
(そんな私もついに年貢の納め時。山陰に飛ばされたか)
だが、ここは私の地元だから、そんな表現は使いたくない。
また地響き。頭を押さえる人もいる。
雰囲気を変えようとしたのか車掌が聞く。
「外は……どんな様子ですか」
「あぁ、列車や空軍基地以外も幅広く攻撃しているようだ」
防空壕の中の人たちに「ほうっ]といった感じで落ち着きが広がる。こういう状況では情報が一番だ。
だが私は黙って分析する。深海棲艦の連中が地上の軍事だけでなく、それ以外の施設以外を攻撃するのは珍しいことだ。なぜか?
その時、親子連れの女の子が母親に聞いた。
「ねぇママ、ずっとココに居るの?」
「悪い人たちが居なくなるまで我慢してね」
そのやり取りに気になった私は薄暗い中で聞いてみた。
「婦人、この辺りでも空襲は多いのか?」
女性が言葉に詰まったので近くの男性が答えた。
「えっと、鎮守府が出来てからは少し増えたような……」
決して棘のある言葉では無かったが私は自分が原因に思えて申し訳なかった。
今度は別の老人が言う。
「今までは兵隊しか襲わんかったけんなぁ」
気を使ったか、それ以上は何も言わなかった。もともと山陰人はハッキリ、モノを言わない。その優しさが逆に心苦しい。
「失礼」
制帽を被り直した私は改めて外へ。情報収集は軍人の使命だ。この調子なら防空壕は恐らく直撃されないだろう
「酷いな」
外に出て反射的に呟く。
線路周辺は手当たり次第に攻撃され空軍基地の重火器類までが、ねじ伏せられていた。
陸軍同様。敵に対空砲や迎撃機で応戦しても歯が立たない。
「もうダメだな」
空軍基地の各所から火の手と黒煙が立ち上がっている。
敵は感情的……深海棲艦は沈着冷静な印象だったが今回は違う。
「何かに取り憑かれたか?」
急に目眩(めまい)がした。
「うっ」
足がふらついて動悸が早まる。
「またか……なぜ?」
さっきもそうだ。今まで経験したことがない状況……そもそも目の前に敵が来ているのに何と
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