プロローグ「空と海の境界線」
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お互いは、普通の人とは何かが違うものを抱えて生きる。
そして、境界線の上で、皆は暮らしている。そう、「空と海」を隔てる境界線の上で。
その境界線は、今は戦場の1つでもある。人と人とが殺し合う戦場ではない。人を守るための戦争。
だが、戦場に現れた「深海棲艦」によって、人は海の道を殆ど閉ざし、空もまた、道を閉ざした。
それでも、確かな希望は人々の手元にある。
歩き出そう。その希望を持って。
◇
「初めてここに降り立つな」
セレンが新たに降り立ったサンド島の美しさに関心しつつも、さっさと基地を出て足早に鎮守府へと向かう。鎮守府へは軽トラックを使ってすぐ移動し、門の鍵を解除した後、力強く開ける。
普通にすっ飛ぶような強さを持ってしてもぴったり止まる門に戸惑いつつも各種施設を確認しつつ、手元にある端末でチェックリストを埋めていく。
(建造した本人がやらないとは、これもまた腐ってる)
と、不満を募らせていたが黙々とチェックを続けた。
この施設が、後に「彼」の新しい拠点になることを知っていたセレンは、特に何も思わなかったのだろうか。
セレンは端末から電話をかけ、鎮守府を立てた張本人に電話をかける。
「はいはーい?施設の文句は受け付けないよ〜」
相変わらずというべきか、相手の男性は最早反省する気のない態度だ。
「……風呂場を男女共用にした事、覚えておけ」
といって速攻で切った。いや、これだけは流石に悪影響が出かねないからだ。
「手の施しようがない……諦めるか」
結局セレンは風呂場を眺めて諦め、「提督が入っているときは札を表示させるので、表示している間は入浴禁止」という紙を張ってさっさとその場を後にした。
(それにしても、あいつはどうしているか……)
「彼」の一生のパートナーとなるであろう、ある少女の事をふと頭に思い浮かべつつ、端末にあったチェックリストのデータを男に送り、妖精に擬態してその場から姿を消した。というより、正確にいえば約6cmくらいの大きさに変わっただけであって、その場にいることには変わりない。
◇
「提督として、着任?」
少年は向けられた話に疑問で返す。少年の話相手である女性が言った。
「貴方は提督として非公式ながらにもサンド島鎮守府への着任をお願いしに来ました。拒否権は貴方にありますが、本当は貴方ではなければ成立しないことが多いのです」
その女性は少年を尊重するように説明する。
「貴方には、『本当の最初の1人』に接触した経歴があると、お聞きしました。とある方の管轄下に、彼女がいた頃の話ではありますが」
もっとも、貴方は忘れている確率が高いでしょう。と、女性は付け足す。
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