第3話(改2.5)<空襲と救出>
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した。
「まだ行けるか?」
目算で距離を読みつつ線路から草地へ向かう。
だが海上と陸上じゃ感覚が狂う。
「ヤバい、間に合わン」
制帽を脱いだ。
「えい、ダッシュ!」
起伏のない平地に列車が停車していれば敵からは格好の目標だ。案の定、奴らは列車に狙いを定めた。
「来る!」
機体の一部が何か光ったと思った次の瞬間、激しい轟音が響く。
私も咄嗟に身をかがめる。
地響きと同時に火花を散らして先頭車両は粉々に砕け散った。
派手に白煙が上がって煙幕のように周囲を蔽う。パラパラと細かい破片が落下してくる。
その煙のお陰で逃げている少女は、しばらく安全だろう。私は直ぐに駆け出して少女に追いつこうとした。
「あれ?」
異変が起きた。足が竦んだのだ。
「まさか……」
それは軍人としてあり得ないことだ。別に最近、戦場で危険な目に遭ったわけでもないのに……焦った。鼓動がどんどん早くなる。そして気分が悪くなってきた。
「これは毒ガスの類ではない」
呼吸を整えた私は努めて冷静に状況を分析した。その間にも地響きが続く。敵は、まだ列車を攻撃することに夢中だ。
「1に敵。2は、私や少女に敵は気付いてない」
敢えて自分に言い聞かせるよう数えながら呟く。すると不意に足が軽くなった。
「今だ!」
弾かれたように少女目掛けて走り出す。
「おーい君、大丈夫か?」
少女は振り返る。少しビックリしたようだが私の問い掛けに小さく頷いた。
彼女が立ち止まったので何とか追いつく。
(やれやれホッとした)
相手は女学生だからな。軍人に声をかけられて警戒されるかと思った。
近頃は内勤が多くて体が鈍ってる。この炎天下で数百メートルも全力疾走して息が切れた。
だが私と同じ条件下で疲れているハズの彼女が意外に息も切れてない。
「……」
(タフな子だな。何か運動でもしてるのか?)
平然としている彼女を見て私は、そう思った。
……改めてみると不思議な子だ。大きな瞳が印象的で、まるで人形のように可愛らしいのだが気配が無い。
(この子、もしや……)
その時、地響きと共に爆発音が連続した。見ると列車や線路が次々と敵によって破壊されている。
「考えてる暇ァ無いな」
時おり黒煙で太陽が陰る。ここは戦場なのだ。私は素早く状況を確認。既に列車と私たちは、かなり離れていた。
相変わらず無数の破片がバラバラ降り注ぐ。幸い私は軍服、少女も長袖のセーラー服だから、さほど痛みは感じない。
敵は数機で列車周辺の地面にまで次々と攻撃を加えて破壊を続けている。乗客は既に避難しているから連中は拍子抜けだろう。逃げ惑う人間が一人もいないのだから。
彼らは
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