一晩寝かすと美味しくなるアレって何なんだろうね?
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木曜日の深夜、店に誰も居ないとき、無性に作りたくなるメニューがある。
「……仕込んでおくか。」
誰に言うでもなく、俺はそう呟いて調理の準備を始める。
シンクの下から中華鍋と、炒め物ように傾斜の付いたお玉を取り出す。中々年季の入ったそれは、俺が提督になる以前から愛用していた相棒とでも呼べる代物だ。
用意する主な材料は豚挽き肉、ホールトマト、赤ワイン、醤油。そして使いたい野菜。じゃがいも、人参、玉葱がベーシックだが、今の時期なら茄子や南瓜、トウモロコシやズッキーニ、キノコ類なんかもいいかもな。
先ずは下拵え。使う野菜を粗微塵切りにする。ポイントとしては刻む野菜の大きさは揃える事。そうしないと食べた時の食感にバラつきがでるからな。
野菜の準備が出来たら、中華鍋に油を入れ、熱していく。温まって湯気が出てきたら、ここに挽き肉を入れて炒めていく。……おっと、チューブでいいから生姜も忘れずにな。肉の臭み消しだ。今回は豚を使ったが、牛や鶏、羊でも勿論作れる。だが、牛や鶏を使うなら牛脂を足す事をオススメする。脂を野菜に吸わせると旨味が増すからな。
挽き肉に火が通ったら玉葱を加え、玉葱が透き通って来たら残りの野菜を加えて更に炒める。野菜に火が通ったらホールトマトと少量の赤ワイン、顆粒のコンソメ、隠し味に醤油を一回し。水は加えずにホールトマトと炒めた野菜の水分、そして赤ワインで煮込んで行く。
水気が無くなり過ぎない内に味の決め手、カレールー。……そう、もうバレバレだとは思うが俺が作っていたのはカレー。しかも、夏野菜たっぷりのドライカレー風だ。今回はジャワカレーの辛口と中辛をミックスして使用。自分でスパイスを調合しても良いんだが、手軽だしな。
ついでに1つ、市販のカレールーの蘊蓄(うんちく)を。カレールーの箱に書いてある辛口や中辛、甘口等の差は、辛味を出す成分量の差じゃない。各メーカーがスパイスの種類や配合を変えて、辛さを変えているのだ。なので、簡単に味に深みを出したければ同じ種類のカレールーでも中辛と甘口、辛口と甘口等のように組み合わせて使うと良い。
ゆっくりとルーを溶かしてやりながら、その香りを確かめる。うん、いい出来だ。このまま温かい飯に……でも良いんだが、俺は耐熱容器に作りたてのカレーを移し、粗熱を取ったら冷蔵庫にしまう。明日は金曜日だ、海軍の伝統をそのまま受け継ぐ鎮守府では、未だに「金曜日はカレー曜日」の習慣が根付いている。長い船上生活の中でも曜日の感覚を失わない為らしい。これで、明日は美味いカレーが喰えそうだ。
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