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先恋
先恋〜番外編《陸太との出会い》〜
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「えー!ま、まぁ、他の人に言わないなら良いけどさぁ…って、僕君じゃなくて、陸太だよ!陸太??」
陸太は頬を膨らませた。沙奈はクスクスと笑いつつ、
「分かった、陸太君、あ、私沙奈ね、瑞木 沙奈!」
「ふーん…瑞木…、じゃあ、瑞木さんね、」

それから沙奈と陸太は、毎日の様に其処で遊ぶ様になった。初めは警戒していたらしい陸太も心を開き、 よく笑う様になった。

そうしている間に、夏休みも終わりが近づいた。
「陸太君、」
「ん?何?」
「今日で、会えるの最後なんだ、」
「え??何で??嫌だよ!」
「私、帰らなきゃいけなくて、夏休みの間だけ、おじいちゃんとおばあちゃんの家に来てたの、だから、もう…」
「何で急に!もっと前から言っててくれたら良かったじゃん??」
「…ごめんね、」
沙奈も、陸太と遊ぶのが楽しくて、最後まで、さよならが言えなかった。陸太はそんな沙奈を当然のこと、恨んだ。
「…酷いよ、僕…もう帰る??」
「待って??」
沙奈が陸太の手を引く。陸太は泣いていた。沙奈は胸が詰まった。そして、泣きじゃくる陸太に、ペンダントを手渡した。
「開けてごらん?」
「…?」
陸太が開けると、中には写真が入っていた。これは、夏休みの途中、二人で撮った写真だった。
「これ、私も持ってるから、これがあったら、お互いのこと忘れない。だから、何時でも会える。ね?お姉ちゃんはずっと、これ持って、会えるの待ってるから!」
陸太は涙を拭い、
「ちょっと待ってて」
と言い、山道を下っていった。…しばらくして、息を切らして陸太が帰ってきた。
「ど、どうしたの??」
「これ…」
それは、陸太が書いた手紙だった。
「時間無くて…漢字書けなかった、けど、お手紙だから…」
陸太はそう言い、微笑んだ。沙奈は手紙を受け取り、陸他の頭を撫で、
「ありがとう!ペンダントと手紙があれば、何時でも会えるね??」
「うん!」


次の日、沙奈が駅に行く前の数分で、あの秘密の場所へ行くと、其処に陸太の姿はなかった。何時も二人でいた場所に、二人が揃うことはなかった。それでも、沙奈は良かった。ペンダントと手紙が有ったからだ。陸太自身がこの場に居なくても、忘れはしないから__。




それから数年、沙奈は大学生になった。教師を目指し、学問に励んだ。実家を出て、一人暮らしをした今も、ペンダントと陸太からの手紙は、沙奈の家にある__。
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