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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七話 幕間狂言
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っているそうだ。彼らと協力すれば帝国の混乱を長引かせる事が出来る。

それともう一つ、ヴァレンシュタイン元帥の具合が良くないらしいと言う噂がある。その事が出兵論を勢いづけている。元帥はレンテンベルク要塞を攻略してからずっと要塞に留まっている。もしかすると本当に具合が悪いのかもしれない。

いろんな噂が流れている。元帥は無理をしてレンテンベルク要塞を落としたので今では動けないほどに身体が弱っている、ローエングラム伯の失脚はヴァレンシュタイン元帥の陰謀で、その事で元帥は後悔して苦しんでいる。他にもシャンタウ星域の会戦で大勢の人間を殺したのでその亡霊に悩まされているとか……。

何処まで本当かは分からない。出兵論を言う人達が噂を作っているんじゃないかと言う人もいる。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。トリューニヒト議長は出兵論は不可だと言っていた。議長には頑張って欲しいな、捕虜交換を待っている人達が居るんだから。あのかっこいい姿をもう一度見せて欲しいと思う。


宇宙暦 797年  2月 5日  ハイネセン 最高評議会ビル  ジョアン・レベロ


最高評議会議長の執務室、その執務室のスクリーンには帝国の星系図が表示されている。一際大きく赤で記されているのがガイエスブルク要塞の所在地、そして青で記されているのがオーディン。

その他に帝国軍の艦隊が黄色の三角で記されている。もっとも艦隊の所在地は結構曖昧らしい。フェザーン経由で情報を得ているためタイムラグがある。

「帝国は辺境星域の平定を後回しにして貴族連合との決戦を優先するようだ。レムシャイド伯から先程連絡が有ったよ」

トリューニヒトの言葉に私とホアンは顔を見合わせた。
「ネグロポンティは呼ばなくていいのか」
私の言葉にトリューニヒトは微かに笑みを浮かべた、何処と無く人の悪い笑顔だ。

「彼は既に知っている。私とレムシャイド伯の会見に同席したからね。たまにはそうやって御機嫌を取らないと彼も不満に思うからな。君達ばかり重用していると」
トリューニヒトが肩を竦めた。

「トリューニヒト最高評議会議長も色々と気を使うわけだ。ご苦労様ですな」
「勘違いしないでくれ、ホアン。私は彼を信頼しているんだ。君達ほどではないけどね」
そう言うとトリューニヒトはウィンクをしてきた。執務室に笑い声が起きた。

笑い声が収まるとトリューニヒトは話を続けた。
「ヴァレンシュタイン元帥も辺境星域の別働隊もガイエスブルク要塞に向かうらしい。帝国も貴族連合軍と我々が連合する事は避けたいらしいね」

「大丈夫かね、ヴァレンシュタイン元帥はえーと、何処だったかな、確か……」
「レンテンベルク要塞だ、ホアン」
私が助け舟を出すとホアンは右手を上げて謝意を示した。


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