第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#25
FUTURE’S MEMORY〜PHANTOM BLOOD NIGTMAREXIII〜
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に通用しねーのか?
眼を凝らしてよぉ〜く視てみな? 煙で見えずれーけどよ」
云われるまでもなく、イルヤンカの漆黒の双眸は既に像を絞っている、
その巨眼に映ったモノは、驚天のその事実とは。
( “泡!?” )
極大に対する極小、大火流に対する微細粒、
眼を凝らさなければ解らない、本当に本当に小さな “泡” が、
何千、何万、何十万、何百万と集まって炎の猛突を防いでいた。
「フフ、フ……」
しかもソレは、両手を広げる男の手から
細胞分裂のように絶え間なく生み出され続ける。
何故 “このようなモノ” で!?
賢明だが紅世の徒で在るイルヤンカには理解不能の解答が、
ジョセフの口から告げられた。
「シャボンで造った泡の中に更に泡を、次から次に生み出し続ける。
コレを繰り返すとどうなると想う?
そう、オレと炎の間に 『空気の層』 が出来て熱をシャットアウト!
蒸発しちまってもどんどん泡を生み出し
ソレに波紋を送り込めば溶岩だって防げンのさ!!
“アノヤロー” のモノマネみてーでちとイメージが悪いが、
オレとシーザーの合体技で一本先取ってトコだなッ!」
空気がなければ炎は燃えない、気体は液体に著しく弱い。
フェノール樹脂、ショック・アブソーバー等に応用される原理であるが
ソレは戦闘に於いても同様である。
科学、というよりは自然の、 『万物の法則』 を取り入れた
波紋の戦闘思考法。
宝具、自在法を駆使する討滅戦とは異なる、理外の発想。
人間の存在を侮る者に到達し得る領域ではない、
そして、ソノ 『神』 の創った絶対の法則の裡では、
巨竜の咆哮云えど従属するしかない。
グァジュンンンンンンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!!
象と蟻の戦力差かと想われた、巨竜の大炎と波紋使いの法儀が互角に終わった。
鈍色の火の粉と鮮赤の波紋光が余塵となって周囲を彩る。
今や、イルヤンカの双眸に映る若き男は脆弱な人間のソレではない、
顕現した王のように、神儀を発動させたフレイムヘイズのように、
恐ろしく巨大で荘厳に感じられた。
「……一つ、応えよ。
ソレほどの能力、何故秘する?
老いた躯を擬装とするも、その理由が見当たらぬ」
嘗ての友が、戯れに白骨へと擬態していたがソレとは意味合いが違う。
相手を油断させるにしても、対価となるデメリットが大き過ぎる。
「それは、その、なんつーか、ヘヘヘ……」
慮外の質問だったのか、男は困ったように頭を掻いた。
大火流を前にしても汗一つかかなかったのに、
何故か今は困惑、紅潮した顔で冷や汗を飛ばしている。
余程重要な秘事だと想われたが、
男の口から出た答えは非常
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