第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#25
FUTURE’S MEMORY〜PHANTOM BLOOD NIGTMAREXIII〜
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古の王としての誇りも有るが、歴戦の直感
見縊らない方が良いという老獪さがこの場合は勝った。
しかし。
「いずれにしても、コレで終わりだ。さらば人間の老戦士」
波紋法とは全く違う意味合いで、周囲の空気が巨竜に呑み込まれていく。
膨大なる気流の集束、ただソレだけで河面がさざめき樹木は軋む。
古 よりの伝承として、竜はその口から火を吐くと云う。
紅世の “甲鉄竜” イルヤンカもまたその例に漏れず。
空気中の火気物質を体内に集め、ソレを己が自在法と組み合わせ
海浪の如き大火流として放出する。
上級クラスのフレイムヘイズでも、
直撃を受ければ灰燼も遺らない。
爆心源の瞬間最高温度は10万度、
その熱量もさりながら火流自体の衝撃と圧力、
射程距離が凄まじ過ぎる。
「……」
急迫する破滅の大火流を前に、ジョセフは変わらず不敵な表情。
種の割れた手品を視るように、
詰み慣れたチェスの定跡をなぞるように、
打ち合わせた両手を無駄のない動きで広げる。
ヴァッッッッッッッジュアアアアアアアアアアアアアアアアア
ァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ――――――
――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
自然界でも類を視ない、界面接触型の水蒸気爆発がシンガポールの首都を震撼させた。
事実、漏れた火流の一部は河面の深度を半分以上に引き下げた。
しかしソレはあくまで余剰であり、着弾地点の惨状はその比ではない。
空気が燃え、大地が熔け、形容有るモノスベテ焼塵と化す爆熱地獄。
その中心部で、古の巨竜と伝説の波紋使いの攻防は “続いていた”
「う、ぬうぅ……!」
「へへ、へ……ッ!」
命中精度を絞る必要もない巨竜の炎、
しかし破壊されるのは周囲の背景のみで
目的の人物には決して到達しない。
不敵な表情を崩さない男の周囲数メートルで、
透明な障壁のようなモノが存在し火流の直撃を防いでいるのだ。
宝具ではない、自在法でもない、アノ “万条の仕手” でも、
“初代・炎髪灼眼の討ち手” でも、
如何なる者でも防ぎ得なかった自分の炎を
取るに足らない一個の人間が完全に封殺している。
その事実に、さしもの鋼鉄の鱗にも冷たい雫が伝った。
(な、何故だ……!?
フレイムヘイズではない只の人間にどうしてこのような能力が……!?
否、コレは彼奴自身の力というより何か別の……)
驚愕と思考を別個に分ける歴戦者の老練、
ソレを見抜いたジョセフが燻る熱波に歯を食いしばりながら告げた。
「……ようやく、解ってきたかい?
何でアンタの炎がオレ
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