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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#25
FUTURE’S MEMORY〜PHANTOM BLOOD NIGTMAREXIII〜
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のパンツ、
首元に(シルク) でも羊毛(ウール)でもない素材のマフラーを巻き
開けた額には三角模様のバンダナをしている。
 先刻の老人の姿は影も形もなく……
否、別人というよりは “同じ人物が”
「キサマは……一体……」
 紅世の徒にとって、己が姿を変えるコトは自在で有るが、
“存在そのものを” 変えるコトは出来ない。
 否応なく膨れあがったその力に、嘗ての英雄の勇姿に、
イルヤンカは心中を震わせた。
「フフフ、流石に “今のままじゃ” 話にならないンでね。
使わせてもらったぜ、 『波 紋 の 奥 義(とっておきの策)』 を」
 狡猾さの中に宿る正統な意志、
相反する要素が同時に存在するこの姿こそ、
紛れもない、全盛時の力に充ち充ちた
若き日の 『ジョセフ・ジョースター』
 スタンド能力でも、ましてや自在法でも為し得ない、
時間を逆行させたが如くのその術が、意外に整った口唇から告げられる。
「 『神 仙 転 生 波 紋 疾 走(ゴッド・リヴァース・オーバードライブ)
熟練の 『波紋使い』 が老いないように、
極度に練られた波紋は老化した肉体を一時的に若返らせるコトが出来る。
コノ(ワザ)は発動までに時間がかかるんでね。
“オレ” としても一種の賭けだったぜ」
 若返った肉体に精神も同調するのか、口調も昔のソレに戻っている。
「キサマ……全て演技(いつわり)だったというのか?
姑息な術も逃げ回っていたのも、全てはその “業” の時を稼ぐ為」
「チッチッチ、なぁ〜に言ってんの。
全て計算でカタがつくなら誰も苦労しないって」
 目の前で凄む巨竜に怯む事なく、若きジョセフは指先を振った。
「相手を策に嵌めるには、まずは自分自身が本気(マジ)じゃないといけないってコトさ。
アンタのその姿を視た時はマジで小便チビりそうになったし、
追っかけ廻されてる間は何度も死ぬかと想った。
いずれも “演技じゃなく本気だったから” アンタを欺けたのさ。
似非(ブラフ)だったら見抜かれる。
これ、ギャンブルやビジネスの世界じゃジョーシキなんだけど、アンタ解る?」
「……」
 ニシシ、と幼子のように笑う男を眼下(まえ)に、
イルヤンカは奇妙な実感をその鋼鉄(てつ)の胸中に感じていた。
 凄惨酷烈相荒ぶ戦場の雰囲気が、どうして一瞬の内にこうまで(ゆる)む?
 若返ったとはいえ、巨大な自分に比すれば石ころにも満たない小さきモノ。
 にも関わらず、この男の存在から発せられてる気配は一体何だ?
 敵で有りながら同胞(みかた)で在るような、
不世出の英雄で在りながら稀代の悪党でも有るような、
異様な雰囲気。
 猛進爆突の勢いを絶やさなかった巨竜の首が、初めて後ろに下がった。
 
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