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IS ーインフィニット・ストラトスー 〜英雄束ねし者〜
6話『転校生』
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 お前、鈴か?」

「久し振りだね、(ファン)さん」

 其処に居たのはツインテールの小柄な少女……。そんな彼女に親しげに話しかける一夏と秋八。……一夏の方は兎も角、鈴と呼ばれた少女は秋八に対して何処か警戒しているようにも見える。
 序でに秋八に対して複雑な表情を向ける箒。

「そうよ、中国代表候補生『凰 鈴音(ファン リンイン)』。今日は宣戦布告に来たって訳!」

「鈴…………。何、格好つけてるんだ? 全然似合ってないぞ」

「んなっ……!? なんて事言うのよ、アンタは!?」

 そう言う一夏の様子はどこか楽しそうにも、嬉しそうにも見える。珍しい兄の姿に鈴との間柄……恐らくは己が引き取られてからの知人なのだろうと四季は思うが、その辺で止めて置いた方が良いだろう。

 ……後ろに大魔王(織斑千冬)が居る……。

「あー……凰さんだっけ? 後ろ……」

「おい」

「何よっ!?」

 運悪く四季の警告の声と共に千冬の声が響いてしまった。当然ながら振り下ろされる出席簿。

「もうSHRの時間だ。教室に戻れ」

「ち、千冬さん……」

 出席簿で殴られた衝撃に蹲っている鈴の図。

「織斑先生と呼べ。さっさと二組に戻れ、そして入口を塞ぐな、邪魔だ」

「す、すみません」

 乱暴では有るが正論である。

「また後で来るからね! 逃げないでよ、一夏!」

「さっさと戻れ!」

「は、はいっ!」

 鈴はそれだけ言うと千冬に怒鳴られて走って二組の方に戻って行った。

 その後、一夏と秋八に聞いたところ、彼女は二人の小学校からの同級生らしい。時期的に丁度箒が転校する時期と入れ替わりに転校してきて、中学二年の終わりに中国に帰ったそうだ。

 そもそも、箒が転校する前に義父に引き取られた四季とは会う機会がなかった相手と言う事になる。

(……あいつには警戒しているみたいだけど……。本性を知っている?)

 まあ、箒とは違い面識もなければ係わり合いも無かった相手なのだ、仲良くするのなら仲良くする、敵対するなら敵対する。それだけだと割り切る。








 昼休み、四季はさっさと教室を抜け出して一人屋上でサンドイッチを食べていた。今日のお弁当は詩乃が早起きして作ってくれたのだから、一口たりとも無駄には出来ないと一人ゆっくりと味わっていた。

 普段は学食を利用しているが、味は良いのだがどうも周囲からの好奇の視線にはなれずに居る。何より秋八や箒と一緒に居る事自体四季にとってはストレスになるのだ。

 細く切られたハムとキュウリの食感を楽しみつつ、その味を堪能すると屋上に来る途中に買った紅茶で喉を潤すと食べ終わったお弁当箱を仕舞い、空を見上げる。
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