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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百六話 キフォイザー星域の会戦(その4)
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れば三月は先になります」
『やはり三月はかかるか、随分と先だな』

嘆息するようなシュタインホフの口ぶりだった。止むを得ない事だ。原作とは違う、敵はガイエスブルク要塞に現状で十五万隻近い大軍を擁しているのだ。メルカッツ達だけでは兵力の面で劣勢になる。わざわざ不利な戦をする必要は無いのだが、それにしても妙だ、彼らにこの程度の事が分からないはずが無い。どういうことだ?

『辺境星域の平定は後回しにしてガイエスブルク要塞を先に攻略は出来ぬか』
エーレンベルク元帥が妙な事を言い出した。何を考えている?

「それは出来ない事は有りません。しかし要塞の敵を討ち漏らした場合、その連中が辺境に戻りやすくなります。得策とは思えませんが」
老人二人の表情が渋くなった。どういうことだ? エーレンベルクの考えは思い付きじゃない、シュタインホフも合意の上で話している。

「どういうことです? 何か有ったのですか?」
俺の問いに顔を見合わせた老人達が渋々といった感じで話し始めた。彼らの話によるとどうやら同盟が妙なことになっているらしい。

自由惑星同盟で辺境出兵論、例の帝国の内乱を長引かせ時間稼ぎをするべきだという意見が力を持ち始めているのだと言う。フェザーンに進駐したことでイゼルローン、フェザーン両回廊を得た。後は時間稼ぎをして国力を回復させようと言う事だ。

この意見、どうやら政治家、軍人の主戦派が唱えているらしいのだが、出兵する以上当然捕虜交換は無い。主戦派にとって兵士が帰ってこないのは痛いはずだがそれ以上に彼らは帝国と同盟の協調路線が気に入らないようだ。

さらに経済界が彼らを支持し始めた。理由は簡単、フェザーンだ。フェザーンを積極的に同盟に組み込み、利用すべきだと考えている。そのためには帝国と決裂したほうが良い。今の帝国の支配権を認めたうえでの進駐など論外なのだ。

帝国と決裂し、帝国が混乱してくれたほうがフェザーンを支配し易い、そう考えている。同盟政府は彼らの攻勢に押され始めている……。

同盟政府は困った。彼らはフェザーンが毒饅頭だと気付いている。食べる前に帝国に返すべきだとも考えている。それが崩れかねない。困った彼らはレムシャイド伯を通して帝国政府に早く内乱を鎮圧しろと言ってきた。帝国にとっても辺境星域に出兵などされては困るだろう、そういうことだ。

『同盟によるフェザーン支配は一向に構わぬが、辺境星域への出兵と言うのは余り面白くない。特に貴族連合軍が十五万隻もの大軍を持っているとなれば、彼らが連合すればとんでもない事になる』

確かにその通りだ。エーレンベルク元帥の言葉を聞きながら思った。同盟で起きている出兵論もそれが有るのかもしれない。ヤンが出てくれば最悪と言って良いだろう。

思い描くような戦は出来ない。どう
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