第1章
旧校舎のディアボロス
第9話 友達、できました!
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と!』
『「魔女」だ!』
『悪魔を癒す「魔女」め!』
治癒の力は神の加護を受けている者しか癒さないと考えている教会の者たちは、悪魔も治療できてしまう力を持ったアーシアを『魔女』と蔑み、アーシアを異教徒として追放した。
アーシアは人々を癒す聖女から悪魔を癒す魔女になってしまったのだ。
そして、行き場のなくなったアーシアを、その力に目を付けた堕天使が拾ったというわけである。
「でも、私は神の祈りを、感謝を忘れたことなどありません。・・・・・・まして、あの方たちが皆、あんな酷いことをしているなんて・・・・・・」
アーシアの壮絶な過去に、俺たちは言葉を失う。
ある意味、これは神器の弊害と言える。
人間ってのは、異質なものを見ると、それがたとえ些細なことでもそれを嫌悪し避ける。それが、人智を超えた異形や異能ならなおさらだ。
アーシアの例はまさにそれだ。
「きっと、これも主の試練なんです。この試練を乗り越えれば、いつか主が、私の夢を叶えてくださる、そう信じているんです」
「夢?」
「たくさんお友達ができて、お友達と一緒にお花を買ったり、本を買ったり、お喋りしたり、そんな夢です。私、友達がいないので・・・・・・」
笑ってはいるが、その心は一体どれだけの悲しみで満ちているのか想像できなかった。
たった一人の神を信じる少女のささやかな夢は、その神がもたらした力のせいで叶うことがなかった。
その事実を察したイッセーは神に対しての怒りに震えていた。
そして、イッセーはその場から勢いよく立ち上がる。
「イッセーさん?」
キョトンとするアーシアに、イッセーは強く言う。
「友達ならいる!」
「えっ?」
「俺がアーシアの友達になってやる!」
「ッ!?」
「つうかさ、俺たちもう友達だろ? だって、こうして一緒にお茶を飲んで喋ったりしたしさ! あ、まあ、花とか本とかはなかったけど・・・・・・こんなんじゃ、ダメかな?」
その質問にアーシアは首を横に振る。
「・・・・・・いいえっ! いいえ、いいえ! いいえッ!」
ホントこいつは。普段はスケベなクセして、根っこの部分では本当に真っ直ぐで誠実──それが兵藤一誠という男だった。
こいつのそういうところはこういうときになると出でくる。
「明日夏と千秋だって、もうアーシアと友達だろ?」
言われるまでもないな。
「ああ。俺もアーシアの友達だ」
「私も」
アーシアは涙を流し始めてしまうが、それは悲しみからくるものじゃないと、この場にいる誰もがわかっていた。
「・・・・・・でも、イッセーさんたちにご迷惑が・・・・・・」
「悪魔もシスターも関係ねえ。友達は友達だっての」
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