暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第四章 タルブでの戦い
青き少女の因縁
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た浄化――主に消臭(・・)の効果がある――の魔法陣も気になった。

『まあそう急くな。直に・・・ふむ来たか。』

 叔父が向く方を見ると、一人の兵士が大きな袋を抱えてやって来た。兵士は私たちの前で袋を降ろし、開けた。


 中身は男の死体だった。


『この男は近頃城下を騒がせていた連続強盗犯でな。つい今しがた処刑を終えたばかりなのだよ。』

 不幸なことに(自分で言うのもなんだが)私は死を身近に感じた故に、死体とかそういったモノは見ても動じない。ホントに自分で言うのもなんだが。
 だから、こんなものを私に見せて何がしたいのか分からなかった。

『お前に本当に見せたかったのはこれではない。・・・始めろ。』


『はい。』

 返事と共に暗闇から現れたのは、最近知り合った先生と名乗る“彼”だった。その表情はいつもの穏やか様子はなく、氷のように冷たいものだった。
 “彼”はチラリと私を見たが、すぐに視線を死体へと戻した。そして、徐に取り出した注射器で死体にプスリと刺した。

『・・・ギ』

 その時、私は信じられないものを見た。

『ギ、ギギギギギギギギ、ガァアアァァアァアアァアアァァァッッッ!!!』

 確かに死体だったはずの男が突然動きだした。
 生き返らせた?しかし、それにしては、今の男は人間には程遠いものだった。
 目は濁った赤色でギラギラと光り、理性があるかも怪しいほどガクガクと奇怪な挙動。口からは血と唾液が混ざったものを撒き散らし、理解不能な言語しか出てこない。
何が起こったのか分からない。一つだけ分かったことは“彼”がこの死体に何かしたということだけだ。

『この死体は理性がなくてな、簡単な命令しか受け付けない。だが、既に死んだ身であるから痛みを感じん。恐らく、手足を千切られても動くことを止めないだろうな。さらに、空腹や渇きも感じないため魔力を与え続けさえすれば半永久的に存在し続けるのだ。』

 叔父は目の前の光景に動じることもなく説明していく。いやそれどころか、その顔はとても生き生きとしていた。まるで、子供が自分が作った作品を親に自慢するように。
そして、私は叔父が考えていることが何となく分かった。分かってしまった。

『そう、かつて強盗という罪を犯したこいつも、今は兵器として十分に価値があるということだよ。そしてだ、シャルロット。』

 と、叔父はしゃべりながらスッと右手を挙げる。

『これがもし大量に生産できた(・・・・・・・・)としたら、正に最強の軍団ができると思わんかね。』

 そう言って、指をパチンと鳴らした。途端に広い工房にポウと灯りが付いた。


 私は見てしまった。階段の下に広がる光景は―――――





 死体死体死
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