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先恋
先恋〜番外編〜
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「沙奈さん、」
「ん?」
陸太が軽く沙奈の肩を叩き、沙奈は其れに笑顔で応える。今日は休日、日曜日は、部活も休みだった。陸太は沙奈の家に行き、沙奈と二人で過ごしていた。
「特に…何かがあるってわけじゃ、無いんですけど、」
そう言い、陸太は何処か恥ずかしそうにクスリと笑った。沙奈も、その笑顔を見て、同様、笑顔になった。
「もし、暇だな〜…とか思ってたら、何処か行く?」
沙奈がさり気なさを装いつつも、行きたいな、とでも思っているように陸太に問う。
「…そう、ですね…、でも、行き先によっては、学校の人に見つかってしまいそうですね…、どうしましょうか?」
陸太は軽く首を傾げ、そう言った。沙奈は其れを聞き、「そうだね…」と軽く俯向く。

教師と生徒の恋愛は、ここが問題なのだ。二人で行きたいところがあっても、他の人物を恐れることで、行くことができない。
「…何処なら、見つからないかな?」
「…うーん…」
二人はじっと考える。ドライブなら、見つからないかもしれないか、ずっと車の中にいて、行き先が無いのも詰まらないだろう。遊園地はデートの定番とでも言えるが、他の生徒に出会いやすくなる。ましてや、映画館など、自分から付き合っているとでも言うようなものだろう。
「うー…」
選択肢は無い、家でジッとしとくのが一番安全だった。
「…ごめんね、陸太君」
「沙奈さんが謝ることなんて、何も無いですよ、大丈夫です、」
陸太が沙奈に笑顔を見せると、沙奈も安心したように微笑んだ。
「…何か…小腹、空きません?」
「うん、私も思ってた。」
時計を見ると、3時前、おやつの時間とでも言おうかと、陸太は軽く腹部を摩る。
「何か、食べますか?」
「そうだね、」
沙奈が頷くと、陸太は立ち上がり、
「キッチン、借りて良いですか?」
「え?陸太君が作ってくれるの?」
「そんな良いものは作れませんが…ある程度なら、作れますよ」
そう言い、陸太は微笑んだ。
「じゃあ…お願いしようかな、」
沙奈がそう言うと、陸太は何かを作り出した。何処か楽しそうに作る。男の子だが、料理は得意なのだろうかと、沙奈は思った。



〜数分後〜

「ど、どうでしょう?」
沙奈の目の前に置かれた皿には、ふわふわとしたカップケーキが置かれていた。
「おっ、美味しそー!え、凄いね!こんなに美味しそうなの作れるんだ!」
沙奈はキャッキャと拍手をしながら喜んでいる。こんな姿も愛らしいと陸太は思った。

「さ、どうぞ、」
「いただきます!」
沙奈は、陸他の作ったケーキを手に取り、一口かじる。上部の焦げた部分が軽くカリッと音を鳴らす。沙奈の顔は、一瞬で満面の笑みに変わった。
「おっ、おいひーよ!これ!」
「口に入れたまま喋ってたら、詰まらせちゃいますよ?」
陸太
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