暁 〜小説投稿サイト〜
先恋
先恋〜風邪〜
[1/2]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
〜翌日〜

「おはよ〜」
「おはようございます!」
校内では、そんな声が飛び交っている。

《今日は全校朝会があります、8時20分までに体育館に集合して下さい、》

陸太が教室に入ると同時に、放送が流れる。
「並ぼーよー!」
「朝会だってー!」
生徒達が体育館に集合する。陸太は、沙奈を探し、辺りを見渡す、が、
「………」
沙奈は居ない。その他の教員は居るが、沙奈だけ、見当たらない。
「…居ない…のかな、」
陸太は小さな声でそう呟き、前を向き直した。




朝会が終わり、陸太はもう一度、辺りを見渡した…が、やはり居ない。
「…沙奈さん…」


教室へ戻ると、副担任である、“神澤 明弘”と言う、男性教師が来た。
「…神澤先生、沙奈さ…瑞木先生は…?」
陸太が聞くと、明弘は、
「ああ、体調が悪いそうです、」
「風邪…あ、熱…ですか?」
「えぇ、ちょっと、高熱みたいで、」
「そうですか…」

陸太はそう返事をして、小さく俯いた。
(…沙奈さん大丈夫かな…、倒れてないかな…、ちゃんとご飯食べれてるかな…、)
陸太は沙奈のことで頭がいっぱいになり、授業の内容など、頭には入らなかった。



(…あー…頭痛い…)
沙奈は、ベッドに横になっていた。
「…もー…何でこうなるかな…」
余りのだるさにずっとベットの上にいた沙奈は、朝食すら、食べてはいなかった。
(ちょっと、お腹すいたかも…)
何時だろうかと、沙奈が時計を見ると、
「11時半…か、」
もう昼前だった。
(薬飲まなきゃいけないし…、何か食べなきゃ…)
沙奈が何かを作ろうとベットから起き上がった時、
(……っ!)
立ち眩みのような感覚で、沙奈はその場に倒れこんだ。頭痛と目眩で立ち上がれない。何やら、熱が上がってきたらしい。体が熱い。汗を流せば熱は下がるだろうが、汗をかかず、熱が体にこもっている為、息苦しいほどに体が熱い。
「…ハァ…ち、ちょっと…ヤバイかも…」
沙奈はどうすることも出来ず、そのまま頭がクラクラして行くのを感じ、いつの間にか、頭の中が真っ白になっていった。
「…ハァ、ハァ…、ハ…ハァ、ど…しよ、水…み、ず…」
沙奈はそのまま、床に伏せる様に倒れた。


「…さん、さん!」
(…さ、ん?3って何…)
「…沙奈さん、沙奈さんっ!」
(…沙奈…さん…?ああ、これ、夢か…、陸太君は…夢の中でも、優しいんだな…)
「沙奈さんっ!」
(…ん…ゆ、め…?)
沙奈は、うっすらと目を開けると、

「…大丈夫ですか?」

「…陸太、く…ん、」
沙奈はそっと微笑み、陸太の名前を呼んだ。何故か、体が怠いせいなのか、陸太を見て安心したのかは分からないが、沙奈の目から、涙が溢れた。
「さ、沙奈さん
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ