20. 初期艦は電 〜電〜
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可愛くて」
「〜〜〜ッ!!?」
ほっぺたを真っ赤にして顔を歪めたロドニーさんは、そのまま足早に執務室を出ていった。ドアを閉じる時に相当力を込めていたようで、『ドバン』という盛大な音とともにドアは閉じ、そして心持ちドアがジーンと震えているように見えた。
それにしてもロドニーさん。なんだか雰囲気が変わったような……そもそも、あんなに小さい人だったっけ? 今まで全然気付かなかったけど、鎧を着ている時と比べて一回りほど小さくなっているような……。
「鎧のせいもあるだろうけどね。周囲を威圧しなくなったんじゃないかな?」
「そうなのです?」
「うん。永田町ってね。うちと違って艦娘同士の仲って良くないらしいんだわ。ライバル同士って言えば聞こえはいいんだけど……青葉がそう言ってた」
「へぇ〜……なんだか意外なのです……」
「そんなとこで過ごしてたから、あまり周囲に隙を見せられなかったんじゃない? うちでも同じように隙を見せないように肩肘張ってたんじゃないかな?」
「……」
「でも電が仲間を必死に助けようとしてるのを見たり、そんな電を他のみんなが頑張って助けようとしてるのを見て、永田町とは違うって気付いたんだと思うよ。だから周囲への敵意むき出しもやめた。きっと、あのちょっとちっちゃくてぷんすかしてる姿が、本当のロドニーなんだろうね」
司令官にそう言われ、改めてさっきのロドニーさんを振り返る。確かにぷんすか怒ってはいるけれど、以前よりも少しとっつきやすいような……そんな印象を受けた。それはきっと、来た時と比べて表情豊かだからだ。今のところはぷんすか怒ってるだけだけど。
「さて電」
「はいなのです」
「お前さん、何か話があるから来たんじゃないの?」
なぜだか知らないけど、胸がドキンとした。そして次の瞬間私の頭の中に響いたのは、ロドニーさんのあのセリフだった。
――艦娘失格の駆逐艦
私は集積地さんを倒すことが出来なかった。艦娘の敵である深海棲艦さんたちを倒し切る事ができなかった。私は艦娘として、失格だろうか……。
「司令官さん」
「ん?」
「電は……艦娘失格なのです……?」
「なんで?」
「電は、テキを倒せないのです……今回も、集積地さんを倒さなかったのです」
司令官さんの優しい声に促されて、私は降って湧いた疑問を司令官さんに問いかけてみた。
この鎮守府に私たちが着任してしばらく経った頃、永田町鎮守府の中将さんが視察に来たことがある。その時私の戦績を見た中将さんは、私を『敵艦を仕留め切れないヘタレ駆逐がッ』と叱責してきた。司令官さんは『気にしなくていいのよ』って言ってくれたけど……その時は中将さんが苦手になっただけだけど。
でも、今になってその言葉の重みが増した。ロドニ
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