第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#23
METEOR STORMU 〜Black Matrix〜
[10/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の瞳
(何故かアイリスには黄金がかって視えた)で、
淑女がそう宣告すると同時にバラリと不可思議な紋字が一斉に弾け、
“迷彩” されていたモノの本質が露わになる。
ソレは、幾重にも組み合わされたドーム型のリボン、
その表面はささくれた剣山状に屈曲しており、
一定の負荷で折れ易くなっているため
外部からの攻撃を機能的に受け流す構造と成っている。
更に操作と同時に編み込まれた変幻系自在法に拠り、
保護色の透明化機能も持ち合わせた完全防御型の焔儀。
血気盛んなシャナやマージョリーとは逆の、
多角的な戦局を見据えたヴィルヘルミナならではの自在法。
しかしその鉄壁の守備力故に編むのに時間が掛かり、
しかも今の片腕しか使えない彼女では流式が完成するまでに
討たれてしまうのだがソレを可能たらしめたのは……
「モガ……ッモガ……ッ! い、息が……」
彼女の背後で、ミイラのように全身ぐるぐる巻きにされた銀髪の騎士だった。
酸欠によるチアノーゼを起こしかけているのか、
妙にリボンが熱を持ってきたので仕方なしにパラリと顔面の拘束を解く。
「ぶ、ぶはぁッ! し、死ぬかと想った!」
滞った呼気を暴風のように吐き出し、
肺が枯渇した酸素を渇望した為
ぜえぜえと荒い息遣いを繰り返す。
「もう少し我慢してくれれば、奇襲が成功していたのであります」
「惰弱」
窒息させた鴨肉のような顔色になった青年を見据えながら、
淑女と王はシレッと告げた。
本体が生命の危機に陥った為スタンドの甲冑がズリ落ちてしまったのだが、
それを惜しいと想いつつも彼を労る敬虔さは二人にはない。
先刻、頭上から降り注ぐ隕石の嵐を、
既にして逃げ場はないと同時に判断した騎士と王女は、
天井の梁、玄武岩の柱が密集した遮蔽物の多い空間に移動し、
背中合わせの状態のままそれぞれの役割に従事した。
まずポルナレフがシルバー・チャリオッツの甲冑を脱鎧、
機動力と精密性を限界まで向上させ、
尚かつ外されたパーツはヴィルヘルミナに着鎧し彼女を守護、
そのまま降り注ぐ火球の嵐を可能な限りサーベルで弾き、
その間隙を縫って淑女は完全防御の焔儀を万全の形で発動させる。
その際さしもの騎士も全て弾き返すコトは敵わず肩を負傷したので、
過保護にぐるぐる巻きにしてドームの中へ引っ張り込んだのだ。
特筆すべきは、両者の剣と条 の技もさる事ながら、
窮地の状況で一切言葉を使わず(元よりそんな暇はないが)
視線の交差のみで策を為し得たコト。
性格も思考も何もかも対照的な二人であるのに、
その息の合った連 携は絶妙の域。
古の王女と現代の騎士。
歴史に|
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ