第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#23
METEOR STORMU 〜Black Matrix〜
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の嵐により配管の一部が落下したか、
ダクトの板金が外れたかそんな所だろう。
残痕だらけの周囲の空間、些事を気にしていたらキリがない。
だが。
「……なんか、変。
なんで “あそこの床だけ” 罅割れてないの?
イヤ、別にいいんだけど、
“丁度二人分” 無傷っていうのが、なんか気になる」
金属音は、そこからした、でも原因となるような残骸は転がってない。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!
おそらく、 『スタンド使い』 でなければ感じ得ない異和感が、
少女の胸中で渦巻いた。
無論、自分の勝利を疑ったわけではないが、
改めて考察するとキレイに決まり過ぎている。
無論対峙していた二人は降り注ぐ火球により灰燼と帰したのだろうが、
無抵抗でヤられる筈がないのでその 「証」 が残っていなければオカシイ。
もがれた腕の一本、脚の一本、転がっていない。
飛び散った血、焦げた臓腑の匂い “すらしない” というのはどういうコトだ?
「……」
確証を得るには少な過ぎる状況証拠、
しかし迂闊に近づくのはスタンドバトルで自殺行為
だという事を知悉している少女は、
ボロボロになったソファーの肘掛けを掴み
固定ボルトを砕きながら片手で軽々と持ち上げた。
レンズ越しの伏せた瞳で、何もないその空間にソファーを投擲しようとした瞬間、
「――ッ!」
突如、明澄な桜色の火の粉がソコから舞い散った。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
透明な空間から湧き出るように、隻眼、隻腕の淑女が片膝を付いた体勢で
長く伸びたリボンを手に姿を現す。
その華奢な躰には、大仰な白銀の甲冑が各部位に装着され
頭部もゆるゆるだが開いた目庇で覆われていた。
当然、(直撃ではないにしろ)火球の攻撃を喰らったため衝撃と高熱で
形は歪み、表面から水蒸気が立ち上っている。
しかしそこに至るまでの数秒間、
甲冑が “持つ” 迄の間に紡いだ何らかによって、
躰には傷一つ付いていなかった。
そして役目を終えたかのように、
淑女の躰を覆う甲冑が次々と脱鎧していく。
アイリスの流法を防ぎきった、死中の流式名が明らかになる。
「“桜 蓮 漆 拾 陸 式 麗 滅 焔 儀”
『四 精 霊 の 幻 想 曲・土 巫 女』 」
決意の光で充ちた赤 紫
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