第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#23
METEOR STORMU 〜Black Matrix〜
[8/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
い」
夕闇の中でも翳らない、硬質で渇いた杏色の瞳。
もう、以前の自分には戻れない。
残酷なこの世の不条理が、少女の甘やかな部分を
跡形もなく削り取ってしまっていた。
ただ、たくさんの声が、胸の裡で何度も木霊していた。
何度も、何度も。
“お姉ちゃん”
共に行く事に、当初神父は難色を示したが
少女の決意が覆らぬ事を知ると、やがて何も言わなくなった。
両親から貰った名前は、焼けた集落に置いてきた。
一緒に眠る事は出来ないから、せめて名前だけでも……
否、アノ時、 「過去の自分」 はみんなと一緒に死んだのだ。
『アイリス・ウィンスレット』 という名前は、
能力と共にアノ人が授けてくれたモノ。
地図にない場所で生まれた少女は、
『世界』 の中心を統べる者のスタンド使いとして
生まれ変わった。
やがて来る 『約束の時』
その行く手を阻む者は、誰であろうと容赦はしない。
みんなの 『幸福』 を邪魔する者、奪い取ろうとする者は、
どいつもこいつも死ねばイイ。
“アイツ等みたいに” 骨も遺さず。
自分はこの為に生かされた。
アノ人の力となり 『天国への扉』 を開く事、
それこそが、ちっぽけな肉体など超越した
大いなる 『使命』 だと少女は理解した。
「……」
星屑の陽炎。
爆砕と高熱が歪んだ空間が、徐々に戻り始める。
至る所に類焼していた火が、何もしていないのに鎮まっていく。
スタンドの持つ不思議、能力の結果が出た後は、本当に潔いほど余韻が残らない。
「死体も、遺らなかったみたいだね」
ゲームの中で敵を殺したのと同じ、無味乾燥な言葉を少女は漏らした。
正直、過 剰 殺 戮だったかなと内省したが、
『サバイバー』 が発動している状態だと流法の制御が覚束無い。
もしかしたら、空条 承太郎や花京院 典明には
『プラネット・ウェイブス』 の能力がバレたかもしれないが、
まぁそれもイイだろう。
サバイバーの効果が持続する限り、自分の優位は揺るがない。
『近距離パワー型』 と “遠隔操作型” の能力を同時に持つ
『スタンド使い』 に、一体誰が勝てる?
二つのスタンドが相互を補う形で存在する為 「弱点」 はなく、
時間を置けば置くほど効果は増大していく。
いっそのこと、ティリエル他全員を撤退させ、
最大パワーで巨大な隕石を叩き落とし
なにもかもブッ壊してやろうかとまで少女の狂熱が高まった時。
ガランッ!
平らな金属が転がり、不安定に空回りしながら籠もる残響が耳に入った。
別段、気にするような事ではない、
降り注ぐ流星
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ