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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#23
METEOR STORMU 〜Black Matrix〜
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 光の奔流のように、鮮やかに甦るたくさんの声。
 決して悲しい別離(わかれ)ではなく、再会を約束しての温かな送別。
 こんなに、こんなに、想われていたんだ。
 自分が大切な以上に、もっと、もっと。
「……失われた生命は、どんな能力(スタンド)でも戻す事は出来ない。
しかし、君が望むなら、そう深く願うなら、
死んだ者達の “記憶だけは”
私の 『能力』 で甦らせる事が出来る」
 たくさんの声に紛れて、天使の澄んだ声が聞こえた。
 誰でも出来る中途半端な行為ではなく、
彼にしかできないやり方で
自分を絶望の淵から救い出そうとしてくれた。
「 『心の記憶』 は、この世でもっとも美しくそして尊い結晶だ……
どんな資産家も権力者も、力だけでは手に入れられない 『絆』……
喩え死が分かとうと、どれだけ残酷な 『運命』 が訪れようと、
ソレだけは誰も人から奪えない」
 見上げた天使の掌中に、光が輝いていた。
 悠久の刻を経たとしても、決して色褪せる事はないように。
「私も世界中を渡り歩いたが、
こんなに美しい 「記憶」 は滅多に視る事はない。
本当に、皆が君を大切に想い、君も皆を大切に想っていたのだね」
 そう。
 生活は、決して楽とは言えなかったけど、
でもみんながいたから楽しかった、
 辛い事も辛くなかった。
 誰かが困っていたら、助けてあげる。
 たったそれだけで、毎日は温かかったから。
「……」
 天使の翳した手から、光が自分に注がれた。
 躰の裡を駆け巡って、全ての細胞に染み込んで、一つとなる。
 これで、絶対に忘れない。
 世界中の皆が忘れても、私だけは覚えてる。
 みんなが此処にいた事、生きていた事、温かった事、全て。
「……約束、しよう。
もう二度と、君のような存在をこの世に生み出さないという事を。
悲しみや絶望に、人々が嘆く事なく 『幸福』 に生きられる世界を創る事を。
今はまだ無理だが、必ず “私達” がやり遂げてみせる。
全ての人間を、 『天国』 へと導いてみせる」
 静謐だった天使の声が、
凍てつくほどに冷たく焼けつくほどに熱い響きを持った。
 決して罪無き者の血は流さない、
しかしその 「目的」 を阻む者の血は、川の如く流す。
 慈愛の中に、逸脱した狂気と執念を同時に内包していた。
 しばしの静寂、斜陽が渓谷の影に消えていく帷の中、
彼は検問所に逗留している慰問使節団に少女の身柄を保護しようとしたが、
彼女は静かに首を振った。
 そして。
「アナタの持っている不思議な能力(チカラ)
私にも、使えるようになりますか?」
 涙と共に、破瓜期の清純も全て洗い流したかのような強い視線で
少女は訴えた。
「私も、 “連れて行って” くださ
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