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天本博士の怪奇な生活
6部分:第五話
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がら携帯を打つ。
「マッハ三〇で空を飛び」
「はあ」
「どんな敵もイチコロじゃ!見よ、この雄姿!」
「雄姿って博士」
「どうした?」
「街、壊れてますけど」
 見れば街がマシンが空を飛んだ時の衝撃波で完膚なきにまで破壊されていた。
 見事なまでに跡形もなくなってしまった街。ただ天本博士と小田切君だけが立っていた。
「ううむ」
「どうするんですか?博士」
 小田切君は博士に尋ねた。
「テスト飛行の段階で街木っ端微塵になってしまいましたけど」
「天才の研究には犠牲がつきものじゃ」
「何呑気つーーか他人事みたいに言ってるんですか!街潰れちゃったじゃないですか!」
「街の一つや二つで大袈裟な」
「これ立派なテロですよ!おまけに犠牲者まで出てそうじゃないですか!どうするんですか!」
「何、心配はない」
 しかし博士は相変わらず動じてはいない。
「心配ないって」
「タイムマシンを使うからな。これで時間を戻す」
「どうやってそんなもの開発したんですか?」
「このロボットの研究の片暇にな。つまらんものじゃ」
 どうやらこの博士にとっての面白い、面白くないは多分に派手さや破壊力が基準になっているようである。将にマッドサイエンティストであった。
「このカメラで街を写す。それだけじゃ」
「それで街が元通りですか」
「そうじゃ。一時間前の街に。ほいっと」
 そう言いながら写真を撮る。すると忽ちのうちに街は元に戻った。
「なっ、この通りじゃ」
「どういう理屈なんですか?」
「気にするな。簡単なことじゃからな」
「全然納得いきませんが。それで」
「ロボットじゃな」
「どうするんですか、そんなの開発して」
「決まっておる、これを自衛隊に売る」
「はあ」
「そしてわしの名を世界に広めるのじゃ。人類史上最高の天才科学者としてな」
「わかりました。でも博士」
「どうした?」
「僕はこの件に関して何の関係もありませんからね。そこのところは宜しくお願いしますね」
「面白くないのう、共同研究者として歴史に名を残せるのに。まあいいわ」
 それならそれでよかった。どっちにしろ歴史に名前が残るのだから。
「ではな。早速売り込んで来る」
「本当にいいんですね、それで」
「何か色々と引っ掛かるのう。わしがいいと言ったらいいのじゃ」
「わかりました。それじゃあ」
「うむ」
 このまま博士は暫く国家権力に抑留された。原子力を無断で密かに使用していたことと不明瞭どころか明らかにまずい入手ルート、とんでもないレベルの兵器性能と様々なところを突かれ抑留されたのであった。
「全く。またしてもか」
 博士は拘置所の中で呟く。
「日本政府も頑迷な。天才の閃きを理解せぬとは。こんなことでは潰れるぞ」
「あんたみたいな人野放しに
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